アサーティブネス
会話・対話の技法。
アサーティブネスとは、相手の権利を侵害することなく自分はどうしたいのか、何が必要なのか
そしてどう感じているのかを相手に対して誠実に、率直に、対等に>自信を持って伝えることのできるコミュニケーションの考え方と方法論を意味します。
『それでも話し始めよう Difficult Conversations』アン・ディクソン
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アサーティブネスとは、一言で言えば、「自分も相手も大切にして、自分の感情や要求を率直に、誠実に、対等に伝えることのできる自己表現の考え方と方法」のことです。
率直に伝えるといっても、アサーティブネスはただ言いたいことを言うコミュニケーションではありません。本当に自分が伝えたい大切なメッセージを、シンプルかつ具体的に分かりやすく伝え、その上で、相手と会話のキャッチボールをしながら、一緒に問題解決をするのが、アサーティブネスのコミュニケーションスタイルです。その際に最も大切なことは、相手を見下すことなく見上げることもなく、対等な姿勢で向き合うことです。アサーティブネスが特に有効なのは、意見しにくい状況にあるときです。例えば、職場に怖い上司がいて、いつも怒ってばかりいるとしましょう。若い人たちは恐れて、会議でも誰も何も発言をせず、生産的ではありません。そのときに、「もっと優しくしてください」「もっとみんなが発言しやすい環境を作ってください」などとただ要求しても、上司はなかなか変わりません。「上司が悪い」「上司が何かすべき」と一方的に相手を責める気持ちがある限り、それが相手に伝わってしまいます。そうなると、おそらく相手は聞く耳をもたないか、場合によっては反撃にでてくるでしょう。それでは対話につながりませんし、そもそも多くの場合、上司が100%悪いわけではないはずです。この方法では、問題解決にはつながらないでしょう。
この場合のアサーティブなコミュニケーションは、問題に対する自分の責任をも考えることです。例えば、「これからは私が若いメンバーに意見を出すよう引っ張っていこうと思うので、何かアドバイスをもらえませんか?」と上司に伝えることです。あくまでも両者の間やその場にある問題を見据えて、その解決を目的としてコミュニケーションを進めていくのです。このとき、何よりも大切なのは「相手を敵と思わないこと」です。アサーティブネスの中心には、加害者と被害者を分けるのではなく、相手と一緒になって問題に注目していく姿勢があります。この例でいえば、上司を敵と見て攻撃するのではなく、問題解決のパートナーと捉えるわけです。その視点を得られれば、アサーティブなコミュニケーションが腑に落ちてくるはずです。