『ファスト&スロー』
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P17@3 正しい直感を養えない領域がある
何年も統計を教え、使ってきたというのに、少ない標本数で得られた統計的結果の信頼性について、正しい直感を養うことができなかった
P18@1 XPぽい良い感じの態度
まったく退屈を感じないときは、完璧をめざして努力するのもじつに容易になる。
P20@4 系統的エラーという表現のが面白い。
ヒューリスティックに頼ると、答えには予測可能なバイアス(系統的エラー)がかかることになる。
P22@4 1970年代以前のパラダイムからのジャンプ
社会科学者の間で1970年代に広く受け入れられていた人間観には、二つの特徴がある。第一は、人間はおおむね合理的であり、その考えはまずまず理にかなっていること。第二は、人間が合理性から逸脱した行動をとる場合には、だいたいは恐怖、愛情、増悪といった感情で説明がつくことである。私たちの論文は、これらを直接扱ったわけではないものの、結局は両方の前提に異議を唱えたことになった。私たちは、ごくふつうの人間の思考には系統的エラーが入り込みやすいことを示す証拠を挙げ、そうしたエラーを追跡調査して、それらが感情の影響ではなく人間の認知装置の設計に起因することを示した。
p24@3
図書館司書のスティーブ
p27@4 “本書の目的”
認知心理学と社会心理学の新たな発展を踏まえて、脳の働きが今日どのように捉えられているかを紹介することである。
P30@4 すり替え
問題が難しすぎて、スキルを総動員してもよい解決策が思い浮かばないときにも、直感は働く。そしてすぐに答えを出してくるが、しかしそれは、もともとの問題の答えではない。あの投資責任者が直面した問題、すなわち「私はフォード株を買うべきか」は難しい。だが、もとの問題と関係はあるがより簡単な質問「私はフォードの車は好きか」になら、すぐに答は出せる。そしてこの答が選択を決めた。これが、近道探しをする直感的なヒューリスティクスの本質である。困難な問題に直面したとき、私たちはしばしばより簡単な問題に答えて済ます。しかも問題を置き換えたことに、たいていは気づいていない。
問題のすり替えが意思決定者に起きると困ったことになるので、私は表情をみて決定の難易度に釣り合わない印象を感じたら、異なる角度の質問をして、判断対象がすり替わっていないか確かめたりしてます。「進捗が進んでいることにしたいプレッシャーがかかっている人」にありがちな印象です。
P31@4
速い思考を行うのがシステム1、遅い思考がシステム2である。
P39@3
この女性がこれからやる行為の予測は、何の努力もなく、自動的に頭に浮かんできたことだろう。あなたには、この女性の気分を評価とか、行動を予測しようという意志はなく、自分が何をしているのかさえ気づいていなかった。ただ、思い浮かんだのである。これは、速い思考の一例である。
P40@2
17x24
これがかけ算の問題だということに、もちろんあなたはすぐに気づく。そしておそらく、紙と鉛筆があれば解けるが、ないと難しいと考えるだろう。さらに、おおよその答の範囲は直感的に分かるはずだ。たとえば、12609も123もあり得ないことはすぐにわかるだろう。だが少し時間をかけないと、答が568でないことに確信は持てまい。正解は思い浮かばないし、わざわざやってみることもないとお考えの読者もいると思うが、ぜひともこの問題に暗算で取り組み、一部でよいからやってみてほしい。
これであなたは、一連の計算手順を通じて遅い思考を体験したことになる。まず学校で学校で教わったかけ算のやり方を記憶から呼び出して実行した。計算をするのはそれなりに骨が折れる。いま自分が何をしているのか、次に何をするのか、順序立てて考えると同時に、途中の計算結果も覚えておかなければならないので、いろいろなことを同時に記憶する負担を感じたはずだ。このプロセスは知的作業にほかならない。熟考、努力、秩序を要する作業は、遅い思考の典型である。
P41@4 二つのシステム
・「システム1」は自動的に高速で働き、努力はまったく不要か、必要であってもわずかである。また、自分のほうからコントロールしている感覚はない。
・「システム2」は、複雑な計算など頭を使わなければできない困難な知的活動にしかるべき注意をテーマ割り当てる。システム2の働きは、代理、選択、集中になどの主観的経験と関連付けられることが多い。
p42@3
システム1は何の努力もせずに印象や感覚を生み出し、この印象や感覚が、システム2の形成する明確な意見や計画的な選択の重要な材料となる。
このシステム2で気になるのが人の身体的制約をあまり活かしきれていない仕事の仕方を普段していることです。人の短期記憶能力はかなり限定的で、4桁以上の数字を覚えておくのも簡単ではありません。会議では様々なテーマが話し合われたり、知的な発見がされたりますが、MTGが終わって満足感とともに揮発してしまうアイデアもたくさんあります。