放射線を食べるカビ
カサデバールのプロジェクトの一つは、あるニュース記事を読んだことから生まれた。それは、チェルノブイリの原子力発電所の事故現場に入ったロボットについての記事だった。事故から30年たっても、まだひどく汚染されている場所だ。その記事ではたまたま、ロボットが黒いカビを持ち帰ったことに触れていた。それは汚いシャワーカーテンについているようなカビで、打ち捨てられた原子炉に定着していた。「なぜ黒いカビだったのか。すると、一つのことがまた別の考えに結びついていった」。カサデバールと共同研究者は注目すべき発見をした。カビは放射線を栄養にして育っていたのだ(注31)。放射性物質ではなく、放射線そのものだ。
チェルノブイリで発見された「放射線を食べるカビ」で宇宙飛行士を宇宙線から守る試み