外化と明確化
学習者が自分で知識を外化し明確化するときに、より効果的に学ぶことを明らかにしてきた(Bransford, Brown, & Cocking, 2000)。これは単にこの文章が表現するものよりも複雑である。なぜなら、学習者は何かを学んだら、次にそれを表現するというわけではないからである。そうではなく、もっともよい学習は、学習者が自身のまだ十分形になっていない、理解途中のものを明確化すること、そして、それを学習過程を通して続ける時に起こる。
明確化と学習は、相互に強化し合うフィードバックの輪の中で結びついているのである。多くの場合、学習者は明確化するまで実際に学ぶということはない。換言すれば、人は自分の考えを声に出すことによって、声に出さずに静かに学んでいる時よりも素早く、そして深く学ぶのである。
この魅力的な現象はレフ・ヴィゴツキー(Lev Vygotsky)によって最初に研究された。1970年代に、教育心理学者たちが同じ現象に気づき始めると、ヴィゴツキーの著書は次々に英語や他の言語に翻訳され、ウィゴツキーは今や学習科学の基礎的な理論化となった(Nathan & Sawyer, 第1巻第2章)。ウィゴツキーは、精神発達の理論に基づいて、明確化の教育的価値を次のように説明した。彼は、あらゆる知識は目に見える社会的な相互作用として始まり、徐々に学習者によって内化され、学習者の思考を形成すると主張している。学習科学者たちはこうした内化過程の本質についてさまざまな論議を展開した。詳細の説明のしかたはいくつかあるものの、学習科学では、学習者に明確化を可能にする学習者間の協調と会話が決定的な役割を果たすという見方で一致している。 生徒は自分が構築している理解を明確化するのに支援が必要である。というのも、彼らは思考について考えるやり方を知らず、思考について話す方法も知らないからである。
出典