4中全会10月20日〜23日開催5カ年計画議論 2025年9月29日
https://gyazo.com/49c3553da8a77b234e2fad288140bf01
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM296P50Z20C25A9000000/
中国共産党は29日に中央政治局会議を開き、党の重要会議である第20期中央委員会第4回全体会議(4中全会)を10月20〜23日に北京で開くと決めた。2026〜30年の経済政策の運営方針を定める第15次5カ年計画を議論する。
国営新華社が伝えた。政治局会議は習近平(シー・ジンピン)総書記(国家主席)が主宰した。7月の会議で4中全会の10月開催を決めたが、具体的な日程は公表していなかった。
中期的な経済や社会の目標を示す5カ年計画を決める。米国と貿易や安全保障などを巡って対立を深めるなか、内外の課題に関する対策を打ち出すかが焦点になる。最終日に今後の政策方針を盛り込んだコミュニケを発表する見通しだ。
内需では急速に冷え込む消費の活性化が課題だ。長引く不動産不況に伴う内需不足により消費は低迷する。雇用が安定せず家計の節約志向は強まっており、需要喚起策が必要となっている。
不動産不況は土地使用権の売却収入に依存する地方財政にも響く。地方債務対策として24年11月に地方債の増発などにより5年間で10兆元(約210兆円)を投じると決めたが、新たな財源である不動産税(固定資産税)の議論は棚上げしたままだ。
少子高齢化への対策も議題となる可能性がある。労働力不足に備えるため25年までの現行の5カ年計画に法定退職年齢の引き上げを盛り込み、25年1月から段階的に導入し始めた。ただ人口減そのものに歯止めがかかる見込みはない。
市場は25年までの現行計画で見送った経済成長率の目標を復活させるかにも注目する。
共産党は中央委員会の全体会議を年1〜2回開く。通常は5中全会で新たな5カ年計画について話し合うが、3中全会の開催が23年から24年にずれ込んだため今回の4中全会で協議する。
https://news.yahoo.co.jp/articles/b76a8fbfbf4e3ed176fababf3d133b85d1bef0f8
中国共産党中央政治局は7月30日、北京で10月に第20期中央委員会第4回総会(4中全会)を開催すると決定した。日本でも新聞社やテレビ局がすぐ報じたが、一部のメディアは8月末に開かれる見通しを伝えていたことをご存知だろうか。実は4中全会は8月から10月に“延期”された可能性があり、その背景として習近平国家主席の権力基盤が揺らいでいることを挙げる専門家もいるのだ。
担当記者は「中国共産党の最高決定機関は党大会です。ところが党大会の開催は大変な準備が必要なこともあり、5年に1回しか開かないのです」と言う。
「とはいえ5年間、何もしないというわけにもいきません。そこで5年間に7回、党大会で選出された中央委員会の全体会議を開催し、重要な課題について議論を行ったり、決定を下したりします。例えば1中全会は共産党の執行部人事を、2中全会は政府の人事を決めるという具合です。そして今年は4中全会が開かれる年にあたり、当初は8月に開催されるという観測が流れていました。ところが、それが10月に決まったと発表されたわけです」
田中三郎氏は中国軍事問題の研究家として知られ、月刊誌『軍事研究』に発表する論文は常に高い評価を受けている。田中氏は防衛大学校から陸上自衛隊に進み、一貫して中国人民解放軍の調査、研究を積み重ねてきた。中国の専門家だけあり、自衛隊から外務省に出向した経験も持つ。
その田中氏は「中国共産党の中では習氏が率いる“習派”と、それに逆らう“反習派”による権力闘争が激しさを増しており、そのため8月に4中全会を開くことができなかったと考えていいでしょう」と指摘する。
「中国は経済の低迷に苦しめられています。しかし習氏は台湾への軍事侵攻を明言し、その準備を進めるよう指示しています。そのため共産党内では習氏の軍事方針に反対する声が日増しに高まっているのです。反習派は『経済が弱体しているのに台湾侵攻など考えられない。アメリカとの軍事衝突に発展すれば中国は深刻なダメージを受け、中国共産党が崩壊してしまう』と危機感を募らせ、反習近平の包囲網を構築しようとしています。習派と反習派の暗闘を読み解く鍵の一つが人民解放軍の人事です。近年になって異常な事態が相次いで起きているのです」(同・田中氏)
2023年8月29日を最後に、李尚福・国防相が突然、公の席から姿を消した。現在に至るまで動静は不明のままであり、24年6月に党籍を剥奪された。
2024年11月には、解放軍の最高指導機関である中央軍事委員会の苗華委員に対し、汚職疑惑で調査が行われていることが判明。中国国防省が突然、苗氏に関して「共産党中央が職務停止を決めた」と発表した。
今年に入ると、解放軍制服組のトップである何衛東・軍事委副主席の動向が3月中旬から急に途絶えた。現在は失脚が確実視されており、アメリカの一部メディアは粛清説を報じている。
「特に苗氏と何氏は習氏の側近として知られていました。例えば何氏は2022年、南京市に司令部を置く『東部戦区』の司令官から、いきなり中央軍事委員会副主席に就任しました。これは中央委員候補、中央委員、政治局委員を飛び越えた大抜擢と受け止められていたのです。にもかかわらず、彼が失脚したのは間違いありません。そもそも中央軍事委員会における制服組委員の定員は6人ですが、現在のところ存在が確認されているのは3人に過ぎず、残りの3人は欠員状態です。この異常な状態を読み解くヒントになるのは、2024年10月30日に発表された中央軍事委員会の公式文書と、解放軍の機関紙『解放軍報』が翌11月1日の1面に掲載した概要でしょう」(同・田中氏)
https://www.dailyshincho.jp/article/2025/08130601/?utm_source=yahoo&utm_medium=http&utm_campaign=link_back&ui_medium=http&ui_source=yahoo&ui_campaign=link_back#google_vignette
「人民解放軍」を巻き込んで激化する「習近平派」と「反習近平派」の暗闘…軍が「機関紙」で“独裁体制を批判”の意味
習近平国家主席の権力基盤が揺らいでいる──解放軍報の1面を読み解くと、現在の中国で繰り広げられている習派と反習派の権力闘争の“原点”が浮かび上がるというのだ。
田中三郎氏は中国軍事問題の研究家として知られ、月刊誌『軍事研究』に発表する論文は常に高い評価を受けている。田中氏は防衛大学校から陸上自衛隊に進み、一貫して中国人民解放軍の調査、研究を積み重ねてきた。中国の専門家だけあり、自衛隊から外務省に出向した経験も持つ。
田中氏は「この公式文書は『強軍文化繁栄発展のための実施綱領』というもので、非常に興味深い内容になっています」と言う。
「解放軍報が掲載した概要からは『習近平』の名前が削除されており、代わりに『党の指導』が繰り返し強調されたのです。つまり解放軍は『党の指導には従うが、習氏の個人的独裁体制には従わない』という意思を紙面で示したことになります。この『実施綱領』に先だって発行された8月10日付の解放軍報にも『民主的な意思決定は党組織の集団的意思決定であって、個人的独断による意思決定ではない』との一文があります。解放軍は昨年夏の時点で習氏の独裁体制を批判していたと見るべきでしょう」
2023年9月から李尚福・国防相の消息が不明となり、24年6月に党籍が剥奪された。その2カ月後の8月、解放軍報が「個人的独断による意思決定」を批判。10月末に中央軍事委員会が「実施綱領」を交付し、11月1日に解放軍報が概要を1面に掲載した。
すると11月28日、中国国防省は習氏の側近として知られた中央軍事委員会の苗華委員が職務を停止され、重大な規律違反の容疑で調査が行われていると発表した。
今年に入ると、解放軍制服組のトップである何衛東・軍事委副主席の動向が3月中旬から急に途絶えた。やはり何氏も習氏の側近だったが、現在は失脚が確実視されている。さらに一部のアメリカメディアは粛清説を報じた。
こうして振り返ると、中央軍事委員会と解放軍報が習氏の独裁制を批判した前後、軍の幹部が相次いで失脚するという時系列が明確に浮かび上がる。
「中国では党が全ての権力を掌握しており、解放軍は党に絶対服従です。そして習氏は台湾侵攻を重視するあまり、侵攻を担う海軍と空軍を優遇し、陸軍とロケット軍を冷遇してきました。これに不満を持つ解放軍の幹部を、中国共産党の反習派が支援している可能性が考えられます。中央軍事委員会における制服組委員の定員は6人ですが、存在が確認されているのは3人に過ぎません。なぜ3人分の“空席”があるのか、それは党の反習派が解放軍の幹部に『委員に就任することは、習氏の部下になることを意味するぞ』と圧力をかけているからではないでしょうか」(同・田中氏)
反習派が危機感を強くしているのは、中国で不動産バブルが弾けたことも大きい。中国で土地は原則、国有だ。共産党は不動産バブルを発生させ、国有地の価値を高めることで莫大な収入を得てきた。だがバブルは崩壊し、地方の共産党は目先の党費にも事欠く状況だという。
「『党の資金さえ著しく減少しているのに、何が台湾侵攻だ』というのが反習派の考えです。とはいえ、習氏が掌握している権力も依然として相当なものがあります。例えば中国における軍管区は『戦区』と呼ばれ、東部、南部、西部、北部、中部の5つに分かれています。このうち首都の北京市に司令部を置く中部戦区が最重要の戦区であり、その中部戦区の司令官は王強氏です。王氏は空軍上将で、習氏の抜擢で出世した軍人なのです。習氏は『たとえ地方で軍が反乱を起こすという最悪の事態が発生しても、王氏が中部戦区を統率していれば鎮圧できる。大丈夫だ』と考えているはずです」(同・田中氏)
8月に中国共産党の重要会議である4中全会が開かれ、そこで習氏に退陣が要求されるという観測も流れていた。だが田中氏は「今も習氏が相当な権力を維持している以上、焦点は習氏が3期目を満了する2027年の党大会になると思います」と言う。
「反習派の勢いが習派を圧倒していると仮定しても、反習派は後継者が決まっていません。後継者を決めるのには、それこそ2年ぐらいの時間が必要です。習氏も3期目を終えたという“花道”を用意され、いわゆる民間企業でいう顧問とか相談役という、それなりのポストに就いてもらうことで、穏やかな“政権交代”を成し遂げるというのが最も現実性の高いシナリオではないでしょうか。中国の歴史では平和的な方法で王朝が交替することを『禅譲』と表現しますが、まさに現代の禅譲を共産党は目指すと考えられます。そして、習政権の後は集団指導体制に移行するのではないかと考えます。つまり2003年から13年まで国家主席を務めた胡錦涛氏の集団指導体制に戻る可能性があるということです」(同・田中氏)