AIがテック企業を脅かす時代になった 2025年8月12日
https://gyazo.com/24990e5a9da0144bd3eac62d4d604d60https://gyazo.com/fb9821b0f144addc2e75b57cf70c4bda
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-08-11/T0TZXIGP9VD100
米金融市場におけるAIの存在感は、今や疑いようがない。時価総額が世界最大の企業はAI向け半導体で圧倒的シェアを占めるエヌビディアで、約4兆5000億ドル(約666兆円)に上る。オープンAIやアンスロピックなどのAIスタートアップは数百億ドルを調達した。
だが、AIがもたらす負の部分に投資家はますます留意するようになった。インターネットがかつてそうだったように、AIもまた既存の産業を根底から覆す可能性がある。そうした影響を次に受けるのがどこかを巡って投資家は賭けを始め、AIの普及で需要が減退すると予想される企業の株を手放している。
ウェブサイト開発プラットフォームのウィックス・ドットコム、デジタル画像サービスのシャッターストック、ソフトウエアのアドビなどがこうした企業に該当する。3社は、バンク・オブ・アメリカのストラテジストがAIで影響を被るリスクが最も高いとして挙げた26社に含まれていた。この26社の株価はオープンAIの対話型AI「ChatGPT(チャットGPT)」が2022年末に提供開始となってからS&P500指数にほぼ沿った値動きだったが、今年5月以降は同指数を約22%下回っている。
AIによる劇的な変化は、現実のものだと、テクノロジー調査・助言会社フューチュラム・グループのダニエル・ニューマンCEOは指摘。「われわれはそれが5年で起きると考えていたが、2年で起こりそうな様子だ。従業員数が多くサービス業が中心の企業は、これまで事業が堅調だったとしても、今後はとりわけ影響を受けやすいだろう」と述べた。
今のところ、チャットボットや、ソフトウエアのコード作成や複雑な質問への回答、写真や動画の生成が可能なエージェントと呼ばれるAIの普及が原因で破綻した企業はほとんどない。しかし、マイクロソフトやメタ・プラットフォームズといったテクノロジー大手がAIに巨額の投資を行う中で、投資家は守りの姿勢を強めた。
年初来でS&P500種が8.6%上昇しているのに対し、ウィックスとシャッターストックの株価は少なくとも33%下落。アドビは顧客が画像や動画の作成でAIに頼るようになるとの懸念から、23%下落している。実際、米清涼飲料大手コカ・コーラは、AIが作成した広告を既に流した。
このほか、オートメーションの拡大で影響を受けると見込まれる人材サービス会社のマンパワーグループの株価は年初来で30%安。同業のロバート・ハーフは株価が半値以下になり、約5年半ぶりの安値に沈んだ。
AIがあまりにも広く浸透し、企業の存続を脅かす時代が近づいているとの認識がテクノロジー業界を注視する人々の間では広がっている。AI開発の最前線にいるマイクロソフトのような企業でさえ、生産性の向上を背景に人員を削減し、その資金でAI投資を追加している。
米国の市場調査会社ガートナーが先週、通年の売上高見通しを下方修正して株価が急落した際には、AIが既存の企業に及ぼす影響への懸念を浮き彫りにした。株価は5営業日で30%落ち込み、同社の1週間の下落率としては過去最大となった。
ガートナーは支出削減や関税など米政府の政策が下方修正の原因だと説明したものの、アナリストがすぐさま指摘したのはAIの影響だった。ガートナーは独自に開発したAI活用ツールの展開を始めているが、同社の調査や分析に代わる割安な代替サービスを、AIが提供する可能性を投資家は恐れている。
モルガン・スタンレーは、ガートナーの下方修正が「AIによる変化に当てはまるとの見方を強めた」と指摘。ベアードは「AIリスクが衝撃を及ぼしつつあるとの懸念が増している」との見解を示した。
ガートナーの代表はコメントの要請に応じなかった。
一方、AIで打撃を受けると予想されながらも、業績を伸ばしている企業も多い。語学学習アプリを手掛ける米デュオリンゴは、多くのAI企業が即時翻訳サービスを提供する中でも今年の通期売上高見通しを引き上げ、AIを自社の戦略にうまく組み込んだことが一因だと説明した。
同社の株価は過去1年間でおよそ2倍となっているが、次世代のAIが脅威になるとの懸念も残っている。
https://jp.investing.com/news/analyst-ratings/article-93CH-1210040
メリウス、AIがSaaSモデルを脅かすとしてアドビ株を「売り」に格下げ
メリウス・リサーチは月曜日、アドビ・システムズ(NASDAQ:ADBE)を「保持」から「売り」に格下げし、目標株価を310.00ドルに設定した。同社はソフトウェア・アズ・ア・サービス企業の継続的な株価収益率の圧縮を警告している。現在1,446億7,000万ドルの評価額を持つこのソフトウェア大手は、株価が大幅に下落し、現在52週安値の332.01ドル近辺で取引されている。InvestingProのデータによると、同社株は過去6ヶ月間で25%以上下落している。
この格下げは、メリウスが「AIがソフトウェアを食べている」と評価する中で行われた。これはSaaSリーダーに恩恵をもたらした以前の「ソフトウェアが世界を食べる」というパラダイムの逆転である。アドビ株は年初来ですでに20%以上下落しており、アトラシアンやセールスフォースなどの同業他社も同様の状況にある。
メリウスは、クラウドコンピューティングが2000年代から2010年代にかけてデル、HP、インターナショナル・ビジネス・マシーンズなどのハードウェア企業の評価を大幅に下げた状況と類似点を指摘し、SaaS投資家は「2011年以来このような脅威を見たことがない」と述べている。
同社の310ドルという目標株価は、アドビの2027会計年度予想の約13倍に相当し、2026年と2027年の予測の引き下げを反映している。
メリウスは、この傾向が進むにつれて、アドビ、セールスフォース、ワークデイなどのSaaSプレーヤーからマイクロソフトやOracle Financial Softwareなどのインフラプロバイダーへと価値が移行し続けると予想している。
その他の最近のニュースでは、アドビはいくつかの重要な展開の中心にあった。同社はFireflyモバイルアプリをiOSとAndroid向けに発表し、AIを活用したコンテンツ作成プラットフォームをスマートフォンに拡大した。この新しいアプリは、テキストプロンプトを使用して画像や動画を生成・編集することができ、テキストから画像への変換やテキストから動画への変換などの機能を提供している。金融ニュースでは、DA Davidsonはアドビの「買い」評価を再確認し、目標株価500.00ドルを維持した。これはアドビのデジタルコンテンツ生成戦略に対する楽観的な見方に基づいており、同社の財務幹部との競争力のあるポジショニングと成長戦略に関する議論によって裏付けられている。対照的に、Redburn-Atlanticはアドビを「中立」から「売り」に格下げし、AIの破壊的影響がアドビの競争優位性に影響を与えるという懸念から目標株価を280.00ドルに引き下げた。さらに、Citizens JMPはCanvaがAI駆動の広告プラットフォームであるMagicBriefを買収すると発表した後、アドビに対する「市場並み」の評価を維持した。最後に、DA DavidsonはFigmaの印象的な財務パフォーマンスを強調し、過去12ヶ月間で8億2,100万ドルの収益を記録し、前年比48%の成長を示したと指摘した。