米下院、ステーブルコイン規制法案を可決 2025年7月18日
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https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-07-17/SZK7ECGPWCHS00?srnd=cojp-v2
米下院は17日、ステーブルコイン規制法案を可決した。暗号資産業界にとって大きな勝利となった。
上院で可決済みの同法案はトランプ大統領の署名を経て成立する見通しだ。成立すれば、ステーブルコインの活用が日常的な金融取引に広がる可能性がある。
ステーブルコインは法定通貨などを裏付けに発行されるデジタル資産。トランプ氏と共和党指導部が後押ししてきた同法案は、連邦ないし州によるステーブルコインの監督を義務づけ、24時間対応の越境送金を可能にする枠組みを整備する内容となっている。
採決結果は賛成308、反対122だった。
法案の支持者らは、成立すれば決済の高速化や低コスト化につながるほか、2650億ドル(約39兆4000億円)規模のステーブルコイン市場に制度的裏付けを与えるものだと主張してきた。シティグループは、2030年までにこの市場が3兆7000億ドル規模に拡大する可能性があると予測している。
今回の可決は、約3年前に暗号資産(仮想通貨)交換業者FTXの経営破綻によって信頼を失った仮想通貨業界にとって、政治的な認知を得る象徴的な転機となった。同業界は親仮想通貨派の議員を議会に送り込もうと、昨年の選挙に巨額の政治資金を投じた。
今回のステーブルコイン規制法案は、トランプ氏が「クリプトウィーク」と称して後押しする一連の法整備の中心と位置づけられる。下院はこの日、より包括的な仮想通貨市場構造法案も可決したが、同法案は今後上院での審議が必要となる。
一方、民主党のウォーレン上院議員やウォーターズ下院議員らは、今回のステーブルコイン規制の内容が消費者保護の面で不十分であり、ステーブルコイン発行体が破綻した場合に政府に対して救済圧力が高まる恐れがあると警告している。
米大手銀行の経営幹部は、法案成立によって加速しかねない課題にすでに向き合い始めている。JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOとバンク・オブ・アメリカのブライアン・モイニハンCEO、シティグループのジェーン・フレーザーCEOはいずれも今週の決算発表で、ドルに連動するステーブルコインである「デジタルドル」は決済における銀行業界の支配的地位を脅かしかねないと指摘し、対応を準備していることを示唆した。
銀行からステーブルコインへの資金移動が進めば、銀行預金が減少に向かう可能性もある。ステーブルコインの越境送金や日常の決済への利用拡大が見込まれることから、今後は銀行やカード会社、テック企業が独自のステーブルコイン発行に動く可能性もある。JPモルガンを含む大手銀行は、ステーブルコイン事業への参入を検討しているとすでに表明している。
今回の動きで最も直接的に恩恵を受けるのはサークル・インターネット・グループなど、米国でドルに連動するステーブルコインを発行する企業だ。17日の米株式市場でサークルは0.8%高で取引を終えた。
ブルッキングズ研究所のエスワール・プラサド上級研究員はこの法案について、「ステーブルコイン業界が長らく求めてきた正当性をもたらすものだ」とし、「しかも、規制内容が比較的穏やかという点も評価できる」と述べた。
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/CRURHQKSWVN7DNLQXINMYXSTEA-2025-07-17/
米下院は17日、ドルに連動する暗号資産ステーブルコインの規制枠組みを策定する法案を可決した。法案はトランプ大統領の署名を経て成立する見通し。
規制整備を長年求め、昨年の大統領選で暗号資産推進派の候補者支援に多額の資金を投じたデジタル資産業界にとって大きな転換点となった。
下院はまた、暗号資産の規制枠組みを定める法案と、米国の中央銀行デジタル通貨発行を禁止する法案も可決した。、両法案は今後、上院で審議される。
「ジーニアス法」と呼ばれるステーブルコイン規制法案は超党派の支持を得て可決された。成立すれば、発行体はトークンの裏付けとしてドルや財務省短期証券(Tビル)など流動性資産を持つことや、準備金の構成を毎月開示することなどが義務付けられる。
「クラリティ法」と呼ばれる暗号資産の規制枠組みに関する法案は、特定の暗号資産が証券か、もしくは商品かを定義し、業界に対する米証券取引委員会(SEC)の管轄権を明確にするもの。暗号資産業界は、大半のトークンは証券ではなく商品として分類されるべきと主張している。
https://www.coindeskjapan.com/304060/
米国初の重要な暗号資産(仮想通貨)関連法案として「ジーニアス法(GENIUS Act:Guiding and Establishing National Innovation for U.S. Stablecoins Act)」が下院を通過、トランプ大統領が署名すれば法律として成立する。
この画期的な法案の成立は、暗号資産に敵対的な規制当局と政策をまとめきれなかった議会のもので低迷していた暗号資産業界にとって、急激な転換を意味する。数日前には、暗号資産市場全体の監督ルールを定める「クラリティ法」も下院を通過している。
ジーニアス法は、賛成308票・反対122票で可決。大統領が署名すれば法律となる。規制当局はその後、ステーブルコイン発行者に関する規制の策定に乗り出す。この分野は現在、テザー(Tether)社のUSDTとサークル(Circle)社のUSDCが大部分を占めているが、ウォール街の大手銀行をはじめとする伝統的金融機関も参入を狙っている。
2つの法案のうち、業界がより重視しているのはクラリティ法であり、今後はより複雑なこの法案の成立に業界ロビイストは全力を注ぐことになる。市場構造法案とも呼ばれる法案は17日、294対134で下院を通過、次は上院での審議が行われる。上院は独自のアプローチを取ると予想されており、現在も法案の草案作成が続いている。
上院銀行委員会のティム・スコット(Tim Scott)委員長は、上院としては9月30 日までに法案を成立させたいとし、下院の法案は「強力なテンプレート」となると述べた。
今年はじめ、トランプ大統領はホワイトハウスで暗号資産業界のリーダーを招いたサミットを開き、8月の議会休会前までに2つの重要な法案を成立させる意向を示していた。ジーニアス法はその最初のステップとなったが、クラリティ法がより重要視されており、政策アナリストはトランプ大統領が設定した期限を大幅に超える可能性があると見ている。