米テック株一転急落NVIDIAでAI懐疑拭えず 2025年11月21日
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前日に2025年8〜10月期決算を発表したエヌビディアの株価は朝方に一時前日比5%高となり、同銘柄が主導してナスダック総合は米東部時間午前10時半ごろに前日比2.6%高まで上げた。その後は指数の上値は重くなり正午ごろマイナス圏に転落。一時前日比2.3%安を付けた。日中の上げ下げの差は4.9ポイントとなり、4月9日(12.7ポイント)以来の大きさを記録した。
終値は2.2%安だった。ダウ工業株30種平均は前日比386ドル(0.8%)安の4万5752ドルで引け、日中の値幅は1100ドルを超えた。
エヌビディアも朝方の上昇を帳消しにして3%安で引けた。マイクロソフトやアマゾン・ドット・コムなど、AI投資に積極的な主要テック銘柄もそろって同様の株価推移をたどった。金融市場の不安心理を映すとされる変動性指数(VIX)は26.42と、終値として4月下旬以来の高水準だった。
エヌビディア決算は1株利益など各指標で、切り上がっていた市場の期待すら上回った。決算説明会の場で「25年と26年のデータセンター向け売上高が目標対比で上振れする可能性について楽観的な見方を示していた点も非常にポジティブ」と米運用会社ギャベリー・ファンズの槙野竜太氏は語る。
19日の決算発表後、時間外取引でエヌビディアや他の大手テック銘柄の株価は軒並み上昇していた。積極的なAI投資の回収可能性に対する懐疑論から各社の株価は11月に入って低迷していただけに、AI銘柄の筆頭であるエヌビディアの決算内容は懸念を和らげるものと受け止められた。ただ、効力は1日も持続しなかった。
米ブリッジウォーター・アソシエーツ創業者で著名投資家の #レイ・ダリオ 氏は20日に米CNBCの番組に出演し「我々が現在バブル領域にいるという点はかなり明確だ」と述べる一方「バブルをはじけさせるものはまだ見たらない」とも語った。割高感が強いAI銘柄とどう向き合うか、市場参加者の強弱感が交錯する。 20日の取引開始前に発表となった9月分の雇用統計では非農業部門の就業者数の伸びが市場予想を上回る一方、失業率は市場予想に反して4.4%へ悪化する結果となった。米金利先物市場では12月利下げ予想が約40%と前日より10ポイント程度上昇した。
世界最大の時価総額を抱える企業の好決算でも、一般に米株の支援材料とされる金融緩和への期待浮上でも、高値を維持できない地合いの弱さが露呈した20日の相場展開。テック銘柄に集中投資していた投資家がポジション(持ち高)の一部解消を示唆する。地滑り的なポジション解消へと発展するシナリオも専門家は指摘する。
米サスケハナ・インターナショナル・グループのデリバティブ戦略共同責任者、クリス・マーフィー氏は「相場の一段安があれば(数理モデルやデータ分析に基づき売買判断する)システマティック投資戦略が現状の買い持ちを解消し、追加的な売り圧力が生じうる」と分析していた。
エヌビディア株4%高、堅調な売上高予想示す-AIバブル懸念払拭に寄与
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米半導体大手エヌビディアは市場予想を上回る好調な売上高見通しを発表した。人工知能(AI)業界がバブル状態にあるという見方を否定したことで、テクノロジー業界全体に広がっていた懸念を和らげた。
19日に発表した資料によると、11月-2026年1月(第4四半期)の売上高見通しは約650億ドル(約10兆2000億円)と、アナリスト予想平均の620億ドルを上回った。
今回の見通しは、AIモデルの開発に使われる高性能半導体「AIアクセラレーター」への旺盛な需要が続いていることを示している。市場ではこうした高額なAI関連設備への過剰投資は持続不可能だとの懸念が強まっていた。
ジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)はアナリストとの電話会議で「AIバブルについて多くの議論が交わされている。しかし、われわれの視点からは、全く異なる状況が見えている」と語った。
決算発表を受け、同社株は引け後の時間外取引で約4%上昇。年初来では19日終値時点で39%上昇していた。
エヌビディアの決算はAI業界全体の健全性を示すバロメーターと見られており、今回の決算を受け関連銘柄の株価も上昇。ネオクラウド事業者のコアウィーブが10%余り上昇したほか、同業のネビウスも8%超上げた。
ザックス・インベストメント・マネジメントのシニアポートフォリオマネジャー、ブライアン・マルベリー氏はリポートで「AIの勢いが衰えていないというニュースに市場は非常に好意的に反応している」と指摘。「エヌビディアのハードウエアソリューションへの需要は依然として堅調だ」と述べた。ザックス・インベストメントはエヌビディア株を保有している。
フアン氏は発表資料で「コンピューティング需要は加速し続けている。AIはあらゆる場所であらゆることを同時に行っている」と述べた。
同氏は先月、同社が最新チップで5000億ドルの売り上げを生み出す軌道にあると表明。主力のAIアクセラレーター「ブラックウェル」と次世代「ルービン」が、2026年いっぱいまで売上高の前例のない成長をけん引すると述べた。
コレット・クレス最高財務責任者(CFO)は19日、5000億ドルという目標を上回る可能性があると述べた。
8-10月(第3四半期)の売上高は前年同期比62%増の570億ドル、1株利益は1.30ドルだった。市場予想はそれぞれ552億ドル、1.26ドルだった。
中核のデータセンター部門の売上高は512億ドルと市場予想の493億ドルを上回った。一方、かつて主力だったゲームPC向け半導体の売上高は43億ドルと予想の44億ドルをわずかに下回った。
今回の予想は同社の急成長を際立たせている。売上高は3年前の同四半期から約10倍に拡大する見通し。通期の純利益はインテルとアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の売上高を合わせた額を上回る勢いだ。
しかし、エヌビディアには課題もある。米国による先端半導体の対中輸出規制により、巨大な中国市場から締め出されている点だ。フアン氏は規制撤廃を米政府に働きかけており、国家安全保障上の目的に反して逆効果だと主張しているが、エヌビディアは現時点で中国向けAIアクセラレーターの売り上げを見込んでいない。
こうした中、米商務省は声明で、エヌビディアのAI半導体「ブラックウェル」について、サウジアラビアのヒューメインおよびアラブ首長国連邦(UAE)のG42への輸出を許可したと発表した。各社最大3万5000個という。承認は「厳格な安全保障および報告要件」を満たすことが条件と説明した。