日本初、補助金に環境を義務化 2024.03.13
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農林水産省は2024年4月から全事業で環境負荷の低減を義務づける。商品に気候変動と生物多様性への対応度を3つ星で示す活動も始める。
農林水産省は政策を環境配慮型へと転換する。総額2兆2700億円の全ての事業で環境負荷の低減を義務化する。さらに、今通常国会で食料・農業・農村基本法を25年ぶりに改正し、環境と生産性の両立を打ち出す。
同省が考え方を抜本的に変えたのは、2021年5月に発表した「みどりの食料システム戦略」がきっかけだ。食料システムは温室効果ガスの排出や生物多様性の劣化に影響があるとして、食や農林水産業と気候変動、生物多様性を共に解決する姿勢を打ち出した。50年に農林水産業におけるCO2排出量をゼロにする。
同戦略を受け、24年4月以降、補助金を受けるには「適正な肥料」「適正な農薬」「エネルギー削減」「害虫の発生防止」「廃棄物の循環利用」「生物多様性への悪影響の防止」「環境法の順守」が必須になる。事業者はチェックシートで確認、全項目を満たした上で申請する。例えば肥料については「有機物を適正に使用する土づくりを検討」などの項目が並ぶ。自己申告であり、「検討中」でも許容するため基準は緩いが、「小規模事業者を含め最低限守ってほしい基準を示した。底上げを狙う」(農水省)。
もう1つ重要な政策は消費者への「見える化」だ。22年度から農産物に温室効果ガスの削減度合いを3つ星で示す実証実験を始めた。24年1月時点で小売りや外食の689店舗が23品目を星付きで販売している。事業者が算定シートに電力や原材料の使用量を入力すると、地域ごとに慣行栽培で排出される標準的なCO2排出量との差が算出される。20%以上削減なら3つ星となる。
24年3月からコメを対象に生物多様性保全の度合いも加え本格的に表示する。冬期湛水など活動が多いと星が増える。定量化が難しいためグリーンウオッシュ(見せかけの環境対応)にならない配慮が必要だ。一方で2兆円規模の事業を環境配慮型に転換することは食の市場を持続可能なものに変革する引き金になる。
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農水省は、農産物の温室効果ガス削減の度合いを3つ星で表示する実証を22年度から始めた。