数理歴史学 2023年8月18日
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国家興亡の方程式を読むと大国であっても滅亡するんですね。
内容としては、国家興亡は「複数の相互作用する要素から構成されるシステムとして、全体的な現象が表現され、数理的記述で説明できる」というもの。なかでも14世紀のアラブ思想家「Ibn Khaldun」が定義した
1 集団を離れて個人は生活できない
2 異なる集団は異なる能力を持ち、それをアサビーヤという(自分自身を防御し、抵抗を行い、自分自身を保護し、そして要求を主張する能力)
3 十分な強さのアサビーヤをコントロールできるリーダーのみが王朝を創立できる
しかしながら繫栄した後、衰亡する一つの要因は経済であるとされ
1 安定した国は大量の労働力の利用が可能になる(人口の増大)
2 生活に必要なものだけでなくぜいたく品も生産するようになる(物資の欠乏)
3 ぜいたく品の奪い合いによりエリート間の競争、抗争に発展し(エリートよる抑圧)
4 アサビーヤは急激に衰退する
5 創立から消滅前は4世代(衰退状態で5・6世代生き延びることはある)
4世代というと30×4=120年ですから、なるほど誕生から成長し、成熟の能登、衰退という世代の掟にもつながるように思います。
日本で大きく政治体制が変化したのは明治維新、それから77年経って戦争に負けて、少し変化して米国の事実上の属国になりました。今はそれから78年で、合計155年ですから、このアサビーヤでいうと、高度成長の終焉が4世代目の終わりで、その後は衰退状態で生き延びている状態と言えるようです。
つまりもう成長なんかしようがないアサビーヤなのです。
この理論で世界を見てみると、とても納得できることがあります。
アサビーヤの増大に最も有利になるのは大帝国の辺境、特にその大帝国が世界的な宗教の担い手であって無国家状態の後背地に接している場合であり、異なる排他的宗教を奉じる二つの大帝国にはさまれた辺境ということなのだそうです。
北朝鮮はまさにこれで「中国・ロシアの辺境」にあり、両国は「マルクス・レーニン主義の担い手を自負し」、朝鮮戦争というあいまいな国境の線引きの上にある「無国家状態の後背地」そのもの。
更に言えば東西陣営の排他的大帝国にはさまれた辺境だから金王朝というアサビーヤ増大が有利になっている。と読み取れそうです。
しかしIbn Khaldunの定義によると4世代でお終いという事なので、只今3世代目ですから、次の世代で陥落するのでしょう。
さて、ウクライナで起きていることもまた「自由主義社会という西欧宗教」と「ロシア民族主義社会という宗教」の境にあり、だからあれだけ抵抗するのはアサビーヤに基づくからといえるのかもしれませんし、さらにウクライナ周辺から次の覇権国家が生まれる土壌があるかもしれません。
このIbn Khaldun氏の定義を数理的に裏付けてたのがピーター・ターチン氏で、Ibn Khaldun氏の示したことは空論ではなく、真実を読み取っていたようです。
日本や北朝鮮だけじゃなくアメリカ、ロシア、中国といった帝国はいずれも衰退期に向かっている時間軸上にあるようです。