富の現金化がAIバブル崩壊の引き金を引く 2026/6/4
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2008年以降、<国家管理相場>の色合いがいっそう強まっているように思える。チャートを見れば分かるように、現在の相場と比べればドットコムバブルでさえ小さく見える。歴史を振り返ると、市場はファンダメンタルズや金利上昇をかなり長い間無視し続けることがある。
こうした状況は、投資家の予想以上に長引く可能性がある。一方で、その局面で高値つかみをすると投資効率が大きく損なわれ、長期間身動きが取れなくなるおそれがある。
過剰が積み上がると、「今回は違う」という言葉が聞かれがちだ。しかし、投資家が新たな局面を語り始める頃には、その局面はすでに終盤に差しかかっていることが多い。人は恐怖と強欲に左右されると判断を誤り、安値で売って高値で買うような失敗につながりやすい。
投機熱を呼ぶ「新しいもの」は、いつの時代にも現れる。過去500年を見ても、チューリップ球根、鉄道、不動産、テクノロジー、新興市場、商品、ビットコインまで、さまざまな対象で投機バブルが起きてきた。
バイ・アンド・ホールド戦略は、長い流動性主導の強気市場では美しく機能する。問題はバフェットが言うところの「潮が引いたあと」だ。
現在の状況は18世紀初頭にフランスで起きた「ミシシッピ・バブル」のひな形に酷似している。通貨インフレと資産投機を組み合わせて富の効果を偽造したが、国家による過剰な通貨発行は最終的に破綻の歴史をたどった。
中央銀行による過剰な流動性供給(金融緩和)や財政拡大によって、企業の業績や実体経済の成長がないままに資産価格だけがつり上げられている状態で「カジノ化」した上昇相場では、投資家は本来の企業価値よりも投機的な熱狂やマネーゲームに依存するようになり、市場のボラティリティ(価格変動)が非常に大きくなる。
「仮想的な富の効果」とは、金融緩和や財政出動によって生み出されたバブル相場において、実体経済の成長を伴わずに資産価格(株価など)が上昇し、投資家や市場が一時的な錯覚によって浮遊感を抱く現象だ。
「仮想的な富」はペーパー上の利益にすぎないため、市場のセンチメントが反転したり、金融政策の転換(引き締めなど)が起きたりすると、一瞬にして消失するリスク(バブル崩壊)を孕んでいる。
レイ・ダリオは「AI株が再び1999年のようになりつつある」と警鐘を鳴らした。昨日、ダリオは「富が現金に変換されることがその引き金を引く」と述べた。彼が言っているのは、技術に賭けることと、株を買うことは本質的に全く異なる行為だということだ。
【レイ・ダリオが今年最も重要なAI投資に関する警告を発したばかりだ。彼に投げかけられた質問はシンプルだった。Alphabetが850億ドルの株式調達を行い、債券市場がAI資金で溢れ、戦争支出が上乗せされる中で、こうした資金が他の分野を圧迫する「クラウディングアウト」は起きているのか? システムはこれをすべて吸収できるのか?
ダリオは「これはバブルだ」と言っており、彼は2025年末以降、一貫してそう主張してきた。所有集中度、センチメント、レバレッジ、評価額の複合指標である独自のバブル指標を根拠に、1900年まで遡るデータを挙げて。その指標によれば、AIは現在、1929年のピークや2000年のドットコムバブル頂点で見られた水準の80%に近づいている。
しかし、投資家たちが誤解し続けているのは、それが実際には何を意味するのかだ。ダリオは「すべてを売れ」とは言っていない。彼の立場は正反対だ:この技術は本物であり、生産性向上は本物であり、長期的な影響は本質的に深い。彼が言っているのは、技術に賭けることと、株を買うことは本質的に全く異なる行為だということだ。
歴史上のあらゆる主要な技術バブル――鉄道、電力、インターネット――では、技術そのものは勝利した。しかし、熱狂の最中に投資家を興奮させた企業の大多数は、破産するか、次の10年間を何の進展もなく過ごす羽目になり、その間も基盤となる技術は複利で成長し続けた。バブルが崩壊するメカニズムこそ、ほとんどの投資家が決して考えない部分だ。
紙上の富(仮想的な富)は現金ではない。バブルはファンダメンタルズが失望したから崩壊するのではない。バブルは、十分に大きな数の資産保有者が、同時にその富を現金に換金せざるを得なくなったときに崩壊する。現在の状況を特に脆弱にしているのは、その集中度だ。アメリカ人の上位10%が現在、全株式のほぼ90%を保有しており、そのグループが何らかの理由で流動性を必要とした場合、売り圧力は構造的に狭い市場にのしかかる】
株式市場は一部のハイテク関連銘柄だけが市場を大幅にアウトパフォームし、その結果として株価が高値を更新するといういびつな構造となっている。ボブ・ファレルが記した10の投資ルールは、改めて見直すべきものであろう。
<ボブ・ファレルの10の投資ルール>
市場のトレンドは時間の経過とともに平均に回帰する
一方向への行き過ぎや過剰は、逆方向への行き過ぎや過剰を生む
マーケットに「今回は違う」はない、行き過ぎや過剰は永続しない
指数関数的な上昇や下落を見せるマーケットは、思ったよりも長続きするが、それが「横ばい」で終わることはない
一般大衆は、ほとんど「高値つかみ」し、安値ではほとんど拾えない
「恐れ」や「強欲」は長期の視点に立った判断を覆すことがある
マーケットは、全体が上がるときが最も強固であり、一握りしか上がらない時は最も脆弱(ぜいじゃく)である
弱気相場には、三つの局面がある。急落、短期的な反発、ファンダメンタルズに沿った長期の下落局面、の三つである
マーケットの専門家が異口同音に同じことを言い出すときは、別のことが起こる
強気相場は、弱気相場よりも楽しい
過剰が積み上がると、「今回は違う」という言葉が聞かれやすい。しかし、投資家が新しい局面を語り始める頃には、その局面はすでに終盤に差しかかっていることが多い。恐怖と強欲は判断を鈍らせ、安値で売って高値で買うような誤った投資判断を招く。
資産と負債を両方ふくらます両建て経済やカジノ市場に依存する経済状況の中で、個人の資産防衛においては、実体のない資産価格の急変に巻き込まれないためのリスク管理(ポジション管理やディフェンシブな戦略)を考えておかないと次の局面では問題が起こるだろう。