北海道、送電網整備、国家プロジェクトに 2024年11月18日
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北海道と札幌市は18日、道内外の送電網整備を国家プロジェクトとして進めることを政府に求めた。道内は再生可能エネルギーのポテンシャルが高いとされるが、電力をつないだり送ったりする系統強化が課題だ。2040年に向けた国家戦略「GX2040ビジョン」の策定にあたり、北海道の役割や必要な施策を盛り込むよう要望した。
北海道の鈴木直道知事が同日、都内で伊東良孝地方創生相と面会し要望書を手渡した。19日には武藤容治経済産業相に要望する予定だ。
GX2040ビジョンでは、脱炭素電源が豊富な地域にデータセンターなどの産業を集積させる誘導策を盛り込む事が検討されている。同ビジョンは年内にも策定され、40年度の電源構成の新しい目標を含む次期エネルギー基本計画についても近く素案が示される予定だ。このタイミングで北海道と札幌市が国に要望書を出す事で関連投資を呼び込みやすくする狙いがある。
これまでデータセンターなどの事業者は、希望する立地やタイミングで必要な電力供給を受けられるかは、実際に送配電会社に申し込まないと分からなかった。特に送電網が弱いエリアなどでは大規模な設備工事が必要となり、接続まで5年以上かかるケースもある。
そこで道と札幌市は、事業者が早期に電力供給を受けられるエリアを特定する仕組みづくりへの支援や、送電網の整備にかかる費用を全国的な視点に立って負担するよう求めた。国がデータセンターなどの集積エリアを決めることで、送電網を早めに増強できるようにするとともに、資金調達についても環境整備を要望した。
政府は5月、全国の送配電会社に対して短期間で電力供給できるエリアを一般に公開するウエルカムゾーンマップを24年度頃を目安に作成するよう促している。すでに東京電力パワーグリッドや関西電力送配電、九州電力送配電などが作成し、マップを公開している。
今後、北海道電力ネットワーク(札幌市)もウエルカムゾーンマップを作成する予定だ。公開されれば系統への接続を希望する事業者は、接続までに必要な期間や電力の供給規模をマップ上で把握できる。
このほか既存ダムのかさ上げに必要な費用も、国による支援でできないかを要望。ダムのかさ上げで貯水量を増やし、水力発電の発電量拡大につなげる。また洋上風力発電では、道内で浮体式の実証や基地港湾の早期指定、基幹部品や組み立て工場の誘致を盛り込んだ。
道と札幌市は6月に政府の「金融・資産運用特区」の指定を受け、最大40兆円のGX投資の呼び込みを目指している。