一人勝ち企業・エヌビディアの行方 2025年9月 1日
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#石原順 エヌビディアの売上高と純利益 エヌビディアの部門別売上高の推移 米半導体大手のエヌビディア(NVDA)は8月27日、2026年度第2四半期(2025年5-7月)の決算を発表した。売上高は前年同期比56%増の467億4300万ドル、純利益は59%増の264億2200万ドルだった。人工知能(AI)関連の旺盛な需要が引き続き成長を支えており、売上高、純利益ともに市場予想を上回り、四半期ベースで過去最高を更新した。
5-7月期の売上高を部門別にみると、主力のデータセンター向けは前年同期比56%増の約411億ドルと市場予想(413億4000万ドル)に届かなかった一方、ゲーム部門の売上は前年比49%増の43億ドルと、市場予想の38億2000万ドルを上回った。その他、自動車部門の売上は5億8600万ドルと市場予想(5億9270万ドル)には届かなかったものの、一年前に比べて7割近く増加した。
データセンター向けの収益が2四半期連続で目標に届かなかったことから、物足りなさを感じる内容だったとの指摘も見られるが、公開された数字について筆者は、物足りなさは感じない。むしろ、エヌビディアが明らかにしている通り、今回、中国の顧客向けH20の販売がなかったにも関わらず、四半期として最高の売上を記録したことは評価に値すると考える。
中国向けの販売をめぐっては米国の輸出規制や中国政府からの圧力の狭間で揺れ動いている。中国は、最新の大規模言語モデル(LLM)を動かすために十分な性能を持つ自国のAIチップをまだ持たないため、今後もエヌビディアの半導体チップを購入したいのは間違いないだろう。なお、2026年度第3四半期(2025年8-10月)について540億ドルの売上を見込んでいるが、ここにも中国向けH20の出荷は含まれていない。
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エヌビディアの地域別売上高の推移 エヌビディアの粗利益率の推移
エヌビディアが米国政府と取引をまとめ、中国向けにH20を販売する代わりに、その売り上の15%を米国政府が受け取るという案が浮上していると言う。企業の活動を許可する代わりに政府がその売り上げの一部を受け取るという提案は、どこにその根拠があるのか疑問だ。この動きがエヌビディアにとってどれほど現実的なのか、またどのように着地するかについては引き続き注視したい。
なお、以前から指摘しているシンガポール向けの売上高は第2四半期時点で、全体の2割を超える水準まで伸びてきた。クレスCFOは、あくまで顧客がシンガポールに請求処理を集約した結果であり、シンガポールで請求されたデータセンター向け収益の99%以上は、米国拠点の顧客向けだったと説明しているが、さらにその先の向け先や企業については触れられていない。
「ブラックウェル」から「ルービン」へ、世代を重ねるごとに需要は増加の一途をたどっている
こうした政治的な動きに翻弄されつつも、エヌビディアは継続的なイノベーションを着実に現実のものとしている。既に、現行の「ブラックウェル」アーキテクチャの後継モデルとして「ルービン」の開発に取り組んでおり、クレスCFOによると、ルービンのプラットフォームのチップはすでに製造工程に入っており、来年の量産開始に向けて予定通り進行しているということだ。
ブラックウェルシステムは、クラウドサービスプロバイダーや消費者向けインターネット企業で広く採用されており、オープンAIやメタ(META)をはじめとする著名なモデル開発者が活用している。さらに、新しいブラックウェル・ウルトラのプラットフォームも好調な四半期を記録し、数百億ドルの収益を上げている。これらのプラットフォームは前世代の「ホッパー」と比較して、トークンあたりのワット効率が10倍向上することが期待されており、これはデータセンターが消費電力によって制限を受ける中で収益の増加につながる。
ジェンスン・ファンCEOは、「今後5年間で、当社はブラックウェルやルービンとの協業を拡大し、追加投資を通じて実質的に3兆ドルから4兆ドル規模のAIインフラ市場に参入する。ここ数年、主要4社のクラウド・サービス・プロバイダーにおける設備投資は倍増し、約6000億ドルに達している。このインフラ構築は始まったばかりであり、AI技術の進歩が様々な産業における問題解決へのAI導入を可能にした」と述べた。
さらに「ルービンはより成熟した完全なスケールアップを実現したサプライチェーンを構築できる見込みだ。ブラックウェルとルービンのAIファクトリー・プラットフォームは、今世紀末までに3兆から4兆ドル規模に拡大するグローバルAIファクトリー構築へとスケールアップしていく。世代を重ねるごとに需要は増加の一途をたどっている」との見通しを示した。
エヌビディアの粗利益率が再び70%台を回復している。クレスCFOはアーニングス・コールの中で、非GAAPベースの粗利益率は年度末までに70%台半ばに達する見通しを維持していると発言している。
前述のファンCEOの発言にあるように、AIブームが続き、より世代が進むごとに新たな需要が生まれるということであれば、エヌビディアの高収益独走体勢はまだしばらく続きそうだ。
一方で、儲かっていないAIに対するビックテック6社(メタ、アマゾン、マイクロソフト、アルファベット、テスラ、OpenAI)の過剰な設備投資は、過去のシェールオイルのブームの二の舞になる可能性もある。エヌビディアの前四半期の収益の85%はこの6社によるものだ。
GPUだけではないNvidia、売上比率17.8%が示す「隠れた成長エンジン」の解明
AIの巨人が、またしても市場の度肝を抜きました。中国向けハイエンドチップ「H20」の輸出規制という約4B(約6,000億円)規模の逆風をものともせず、NvidiaのFY2026Q2決算は売上高46.7Bを記録し、市場のコンセンサス予想を超えてきました。
しかし、今回の決算で真に注目すべきは、その原動力にあります。
本当の主役は別にいました。これまで「影の立役者」と見なされがちだった「Networking」部門が、前年同期比98%増となる$7.2Bという爆発的な成長を遂げたのです。
結果として、Computeに対するNetworkingの売上比率は17.8%に達し、AIブームが本格化して以来、最も高い水準となりました。
この数字は、単なる成長以上の大きな意味を持っています。Nvidiaのビジネス構造が、次のフェーズへ移行し始めたシグナルなのです。しかし、主力製品の部品構成比から算出される理論値の限界は??%のはず。一体、この数字の裏で何が起きていたのでしょうか?
本noteでは、この「理論値とのギャップ」を生み出した2つの大きな要因を深掘りし、Nvidiaの次なる一手を探ります。
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Spectrum-XGSは神経系の役割を果たす、AI開発基盤に欠かせない統合プラットフォーム。
アリババのAIチップなんて無視で良いです。半年も経てば忘れています
それよりもNvidiaのネットワーキングの異変をきっちり有料noteで把握してください
InfiniBandからEthernetへ、ここまで強いかっ
NVIDIAの人工知能(AI)半導体「ブラックウェル・ウルトラ(GB300)」が圧倒的な需要を見せ、SKハイニックスがこのAI半導体のための第5世代HBM3E 12段を供給量増加で今年下半期実績上昇傾向を続けると予想された。