レイ・ダリオ:今は1930年代と同じ 2025年9月22日
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https://www.iwaicosmo.net/report/4681930.html #石原順
モルガン・スタンレーの最高投資責任者(CIO)マイク・ウィルソンが、従来の60/40ポートフォリオから、株式60%、債券20%、金20%を配分する60/20/20戦略への移行を推奨しているという。キャッシュフローや利益が安定している高クオリティ株を補完する新たなヘッジとして金を捉えているとのことだ。60/40ポートフォリオは、資産の60%を株式に、40%を債券に配分する古典的な投資手法の一つとされている。
株式の下落時に債券が上昇しやすいという逆相関の関係を利用し、リスクを分散して安定したリターンを目指すというもので、これまで歴史的に有効とされてきた。ただし、近年の金利上昇局面などでは株式と債券が同時に下落する局面もあり、従来の分散効果が弱まる場合があることも指摘されている。
ウィルソンは、投資家が長期債利回りの上昇を想定する中、米国株と米国債の上昇余地が限定的であることを踏まえ、60/20/20戦略はインフレに対するより強力なサポートになると主張しているという。
1800年代半ば、アルミニウムは金よりも希少であったため、アルミニウムはフランスの国宝に含まれ、アルミニウム製の宝飾品はフランス貴族のステータスシンボルだったそうだ。
しかし、1886年、画期的な発明(ホール・エルー法)、いわゆるイノベーションによって純粋なアルミニウムをわずかなコストで大量生産できるようになり、アルミニウムの物語は劇的に変化したと言う。
この革新が起きる以前、世界のアルミニウム生産量は月にわずか数オンスに過ぎなかった。その後、米国のアルミニウム会社が、1日あたり800オンスの生産を開始、そしてその20年後には1日あたり140万オンス以上の生産量を誇るようになる。もちろん、アルミニウムの価格は暴落した。
贅沢品だったアルミニウムがどこにでもあるものへと劇的に転落したことは、重要な通貨原則を浮き彫りにしていると指摘している。それは「hardness(硬度・耐性)」であり、良質な通貨の最も重要な性質であるとしている。「hardness」は物理的に硬いという意味ではない。むしろ、「生産が難しい」という意味として使われている。価値の低下に対する耐性として理解することが出来るだろう。これは、あらゆる優れた価値保存にとって重要な特性であり、お金の重要な機能である。
誰でも簡単に作れるものにあなたの全財産を託すだろうか。それは、あなたの資産を商店街のクーポンやポイント、航空マイル、あるいは「政府の法定通貨」に保管するようなものである。
歴史的に、金は人類にとって最も堅固な資産だった。供給量の増加率が極めて低く安定しているため、金は数千年にわたって最良の通貨として君臨してきた。World Gold Councilによると、金の供給増加率はわずか1.7%で、この数字は長期にわたって安定していると言う。つまり、人類がどれだけ努力しても、金の供給量を毎年2%以上増やすことはできないということだ。
供給増加率の低さと価値下落に対する耐性をベースにした場合、金に匹敵する現物商品は他にないと言う。金や銀といった貨幣価値を持つ商品の供給増加率は相対的に低く、対照的に工業用商品の供給増加率ははるかに高い傾向にある。
危機の時には金が輝く。世界的に債務が急増し、法定通貨が不安定になり、中央銀行への信頼が崩れる中、大規模な通貨リセットはもはや「起こるかどうか」の問題ではなく、「いつ起こるか」の問題だ。
19日のブルームバーグの記事「ダリオ氏、米国債務の危機を警告-「金融秩序への脅威」高まる」によると、ダリオは「その他の要因も重なれば、米国の覇権そのものが終焉を迎えるか決定づけることになる」と語った。また、「世界市場にはそうした国債に匹敵する需要がなく、それが需給の不均衡を生む」とした。米国政府は30%の過剰支出を行なっており、12兆ドル規模の国債発行が必要で、米政府の債務累積が金融秩序を脅かしつつある。
ダリオは以前から米国の債務について警鐘を鳴らしている。
ダリオは、歴史は正確に繰り返されるのではなく、韻を踏むという考え方に賛成だと述べている。多くの状況は似ているものの、全く同じものは一つもないからだ。今起きている大きな出来事がどこへ向かうのかを理解するには、細部に目を細めたり、正確さを求めたりするよりも、大きな力の相互作用に焦点を当てることが最も重要だと述べている。