ブラックロック、気候変動対策グループ脱退 2025年1月10日
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米資産運用大手ブラックロックは9日、気候変動対策を目的とした世界最大の投資家グループ「ネットゼロ・アセットマネジャーズ・イニシアチブ(NZAM)」から脱退すると明らかにした。同社は地球温暖化に関する取り組みを巡り共和党から批判されていた。
同社はNZAM加盟について、「ブラックロックの業務に混乱を招き、さまざまな当局関係者から法的な審査を受けることになった」と顧客向けのレターで説明した。
ブラックロックは、保守派が「ウォーク(社会正義に目覚めた)」と呼ぶ方針をとっているとして、共和党議員から攻撃されてきた。最近では、石炭生産を抑制する戦略を採用しているとされ、反トラスト法(独占禁止法)でテキサス州などから提訴された運用会社に名を連ねた。
顧客向けレターによれば、同社の「NZAMへの参加は、顧客ポートフォリオ管理方法に影響を及ぼさなかった。このため脱退を受け、顧客向け商品・ソリューションの開発方法や顧客ポートフォリオ管理方法が変わることはない」という。
同レターには、フィリップ・ヒルデブラント副会長と、サステナビリティー・トランジション・ソリューション部門グローバル責任者ヘレン・リースジョーンズ氏が署名している。
NZAMは、2050年までに投資先の温室効果ガス排出を事実上ゼロにすることを目指すグループ。約325の運用会社で構成され、資産規模は計50兆ドル(約7900兆円)前後に上る。
世界3位の運用会社ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズは9日、NZAMに加盟し続けると電子メールで表明。2位のバンガードは22年にNZAMを脱退した。
米大手行は最近、気候変動対策を目的とした国際的な銀行グループ「ネットゼロ・バンキング・アライアンス(NZBA)」から相次ぎ離脱している。
昨年12月初旬以降、ゴールドマン・サックス・グループ、ウェルズ・ファーゴとシティグループ、バンク・オブ・アメリカ、モルガン・スタンレー、JPモルガン・チェースがNZBAを去った。
共和党の第2次トランプ政権発足を間近に控え、ウォール街は政治的圧力の高まりに身構えている。テキサス州のパクストン司法長官は今週、NZBA脱退を表明した銀行について、地方債の引き受け業務から締め出すとしていた警告を取り下げた。