イオン、中国・長沙に新ショッピングモール 2025年11月30日
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イオンは27日、中国内陸部の湖南省長沙市に新たにショッピングセンター(SC)を開いた。足元では高市早苗首相の国会答弁を発端に日中関係が悪化し、日本に関連するイベントの中止や延期が相次ぐ。長沙は2012年に反日デモが起きたが、今回は大きな混乱は起きなかった。
「イオンモール長沙湘江新区」は同省内で2店舗目となる。式典には中国側の来賓として地元政府の関係者が出席した。ただ席上の名札は中国側の来賓では所属部門の名称のみで、個人名は記されなかった。司会者も中国側来賓の氏名は読み上げなかった。
24年9月にイオンが同省内に1号店を開いた際は、省政府幹部が中国側来賓を代表してステージで挨拶した。27日は開業を宣言するイオン側や出店企業の関係者のみで、地元政府関係者は自席にとどまった。
日中対立が深まるなか、中国各地の政府関係者は、日本企業のイベントに出席したことが周囲に知れ渡ることが政治的なリスクになるとみなしている可能性がある。
イオンのような大手企業による投資は雇用を含めた地域経済への貢献が大きい。開業の予定日は既に広く伝わっており、開業延期にまで踏み込めば周辺住民の反発を呼びかねない。このため、当初通りにオープンする一方で政府関係者が登壇しないという形式になったようだ。
新店は延べ床面積が23万6000平方メートル。自社スーパーのほかに専門店260店舗などが入居する。集客の目玉として屋上に大型遊具を置いた広場をつくった。ローカルな雰囲気を残しつつも清潔な環境で食べ歩きを楽しめる「ナイトマーケット」も設けた。
イオンは08年、SCの中国1号店を北京市内に開いた。今回の開業で中国で営業するSCは23カ所になった。
日本国内の市場は飽和状態に近づいており、海外事業の拡大が欠かせない。SC開発子会社イオンモールの大野恵司社長は27日の記者会見で「中国では、沿岸部より成長余地が大きく、投資額も比較的抑えられる内陸部で今後も出店を続けたい」と話した。
長沙市では12年、日本政府による沖縄県尖閣諸島の国有化に伴い、反発したデモ隊が日系百貨店の平和堂を襲撃し、設備の破壊や商品の略奪をしたことがある。
中国局長、日系企業の拠点視察 日中協議直後「安心して事業を」と伝達
中国外務省の劉勁松アジア局長が11月に日系大手メーカーの遼寧省大連市にある拠点を視察していたことが分かった。日本外務省幹部と北京で協議した直後のタイミングで、企業側に「中国で安心して事業活動をしてほしい」という趣旨を伝えたという。
複数の関係者が明らかにした。日中関係は高市早苗首相の台湾有事を巡る国会答弁をきっかけに悪化している。