なめ敵とRadicalxChangeについて
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RxCにおけるPluralityとは何か
政治哲学におけるplurality(複数性や多元性)とRadicalxChange(RxC)が使うPluralityの用語法をまず分ける必要がある。
RxCのPluralityは、"協働可能な多様性と民主主義のためのテクノロジー"であって、政治的なpluralityではない。
問題の出発点
なめ敵は、カール・シュミットの友敵理論の乗り越えを目指している。
第11章 敵 11.1 シュミット銀河系
敵と味方を区別するほど、滑らかさに反する認識はないだろう。.... 本書がなめらかな社会を目指すからには、敵と味方をなめらかにするという困難な問題にも挑まねばならない。『なめらかな社会とその敵』文庫版 pp. 340
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ハンナ・アーレントは、カール・シュミットにおける友敵理論への反省と乗り越えを前提としている。
鈴木健とハンナ・アーレント/RadicalxChangeは、同じ課題から出発している。
なめ敵における伝搬委任投票システム
なめ敵本が何を目標にしているかは色々なレベルがありつつも、伝搬委任投票システムは、ステイクホルダーの意思決定を促す技術である点で、協働を促すシステムを目指している。
この意味では、伝搬委任投票システムはRxCにおけるPluralityである。
さまざまなステイクホルダーにおけるガバナンスを支える(=メタガバナンス)システムやテクノロジーという意味では、二つの目的は同類。
7.3 分人民主主義の意義
7.3.1 制度のメタシステムとしての伝搬委任投票システム 『なめらかな社会とその敵』pp. 249
議論
なめ敵とPluralityは課題と目的は非常に似ている。
同時代性もある。
手段と社会に関する理解の前提が異なる可能性はあるが未検討。
なめ敵が目標とする技術が、膜が曖昧になることで協働を促す技術であり、膜を前提としてインセンティブによって協働を促す技術ではないという分け方などで、ふたつが別のものという分け方も可能。
どの程度この主張が妥当かはわからない。
さらに、柄谷行人から影響を受けた人としても整理可能。
『なめらかな社会とその敵』では柄谷行人は一度だけ引用され、交換様式の議論はない。
しかし、伝搬委任投票システムは敵と味方を分けない誰ともわからない相手への贈与という問題の共有はある。
オードリータンよりRadicalxChangeは、交換様式DのXからきていることはすでに言及がある。
ヴィタリックさんのEthereum上で研究開発された「新たな交換様式」は、不特定多数の人が公共の利益のために交換することを可能にするものです。これは一見すると個人のための利益に見えるかもしれませんが、最終的にはコミュニティー全体の利益になるという共通認識につながります。これらはメカニズムデザインの活用方法であり、私はこれを台湾の政治にできる限り応用するようにしています。
前置きが長くなりましたが、なぜこのような交換様式をRadicalxChangeと名付け、Radical x Changeと別々の単語に分けて表示しなかったのか。それは日本の文学者であり哲学者である柄谷行人(注3)さんが提唱している交換様式X、すなわち「交換様式論」(注4)から着想したものだからです。
マルクス主義が陥った罠にもハマるのではという疑念もある。