『異邦人』 by カミュ
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読んだ/観た日:2021/05/01 - 2021/06/29
★総合(0-5):4.0
ストーリー:4.3
エンディング:4.0
登場人物/演技:4.0
絵/文章/映像/音楽:4.0
世界観/独創性:4.0
おしゃれさ/エンタメ性:3.0
分かりやすさ:3.5
新知識/新しい気付き:3.8
深さ/哲学性/人生への影響度:3.8
他の人におすすめ:3.5
あらすじ/概要
母の死の翌日海水浴に行き、女と関係を結び、映画をみて笑いころげ、友人の女出入りに関係して人を殺害し、動機について「太陽のせい」と答える。判決は死刑であったが、自分は幸福であると確信し、処刑の日に大勢の見物人が憎悪の叫びをあげて迎えてくれることだけを望む。通常の論理的な一貫性が失われている男ムルソーを主人公に、理性や人間性の不合理を追求したカミュの代表作。
読書/鑑賞中メモ
感想/考察
なんというかなんとも言えない。まだあんまり言語化できていない
不思議な魅力のある本
社会一般における自己同一性や論理的一貫性といったものが失われた主人公に対して、社会がまずは彼を取り入れようとし、そしてそれに失敗すると、彼がおかしいのだという定義をして、今度は排除しようとする。
だが僕はこの主人公を、自然な人間だと感じてしまった。いや、そう感じるように描かれているのか。社会的な屈折のない、自然な生理反射としての自我が、ある種羨ましささえ感じさせる。
現代人は、自己同一性に囚われている。自己という統一されたなにかが存在するのだと信じて疑わないし、その一貫性を保つために必死に言い訳をして生きている。その”一貫性”から外れる感覚、衝動、行動を抑制し、”自己”に見合った行動を選択しようとする。自己に縛られているといえなくもない。
ムルソーはそういう縛りから自由であり、自由意志を信じず、神を必要とせず、スピノザ的実践者といって良いのかもしれない。
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