前半は調子よくプレーしていたのに、後半に入ってから予想以上に叩いてしまい、終わってみればいつもと同じスコアだった。
そのような経験をしたことがある人は少なくないのではないでしょうか。
今回はなぜそのようなことが起きてしまうのかについて解説していきます。
人間には居心地のいい空間・状況がある
人間には無意識のうちに楽でいられる居心地のいい空間・状況が存在します。
それを『コンフォートゾーン』と言います。
コンフォートゾーンにいる時は能力が発揮しやすく、コンフォートゾーンから離れると能力が十分に発揮できません。
スポーツにおける「ホーム」と「アウェイ」で考えると、ホームがコンフォートゾーンであり、アウェイがコンフォートゾーンから外れていると言えます。
そして、何によってコンフォートゾーンが決まるのかといえば、あなた自身が「自分はこんな人間だ」と思っているセルフイメージです。
コンフォートゾーンは、「スポーツ」「人間関係」「収入」「学業」、生活すべてにおいて関係しています。
人間関係であれば、グループの中からある一人が急に顔を出さなくなれば「なんか最近あの人付き合いが悪い」と感じるでしょうし、ゴルフであれば、前半調子よくプレーしていたのが、後半に入って急に崩れだすのは「オカシイ! 自分がこんなプレーをするはずがない」と無意識がザワつくためです。
つまり、あなたのコンフォートゾーンから外れた状態です。
大事な会議でのプレゼンや面接の準備をしっかりと行っていたのに、いざ本番になったら頭の中が真っ白になるのも、相手の態度やその場の雰囲気が自分のコンフォートゾーンから外れていると感じるからです。
声がうわずる、動作がぎこちなくなる、胃が痛くなる、急に手に汗をかいたりすることなども、コンフォートゾーンから外れた時に現れる現象の一つです。
人間は現状を維持しようとする
コンフォートゾーンは人それぞれ違いますが、すべての人が持っている見えない空間・状況です。
そしてすべての人に、このコンフォートゾーンを維持しようとする機能が備わっています。
それが『ホメオスタシス(恒常性維持機能)』というもので、人間の生体を安定的に維持していくための機能です。
例えば、人間は暑いと感じれば汗をかきます。それは体温が上がりすぎないよう汗をかいて体温調節を行なっているからです。
脳にとっては「良い」も「悪い」も存在しません。とにかく現状を維持しようとします。
ダイエットしたいのにダイエットができないとか、新しいことを始めようとしても長く続かないなど、いわゆる「三日坊主」も同じです。
それらはすべてホメオスタシスの働きです。
・お金がかかるから止めておこう。
・時間がかかるから止めておこう。
・今日は仕事で疲れているから止めておこう。
・今日は雨が降っているから止めておこう。
・今日は忙しい。
・やっても意味がないような気がする。
・途中で失敗するような気がする。
・確実にできるようになるまでタイミングを待とう。
など、やらない理由が思いついたなら、それはホメオスタシスによるものです。
あなたの意志が弱いわけではありません。
ダイエットが続かない、変わりたいのに変われないのも現在の自分がコンフォートゾーンであるため、あなたが変わること、現状が変わることを嫌がるわけです。
宝くじで高額当選した人が、その後破産しているのも同じで、元のコンフォートゾーンへ戻ったのです。
前半は調子よくプレーしていたのに、後半に入って予想以上に叩いてしまうことが起きてしまうのも、ホメオスタシスによって現在のあなたのコンフォートゾーンに戻そうとする機能が働くからです。
自分の自己評価に対して、結果が自分のイメージよりも高くても低くても「元のところ」へ戻ろうとします。
脳にとっては「良い」も「悪い」も存在しないからです。現状に戻そうとします。
つまり、コンフォートゾーンは人間の自己抑制機能だということです。
前半、調子よくプレーしている時、うれしい反面、「この後、失敗したらどうしようか」と不安になったことがあるのではないでしょうか。
たとえ自分にとってラッキーな状況や有利な状況であったとしても「自分のコンフォートゾーンではない」と判断してしまうのです。
セルフイメージを変えていく
脳にとっては、目の前の現実か頭のイメージであるかは関係ありません。
どちらがより自分にとって「リアル」であるかです。
その頭の中のイメージがリアルであればあるほど、目の前の現実が追いついてきます。
イメージが先、現実が後です。
「自分はこのくらいのスコアでプレーするのが当たり前だ」という新しいセルフイメージを作っていくことで、コンフォートゾーンをズラしていくことができます。
そのためには、どういうゴルフプレーヤーになりたいのかを設定していくことが大切です。
想像力の限界が創造力の限界を決めます。
ぜひ、いま目の前の現実にとららわれずに、自由にこんなプレーができたらいいなとイメージしてみてください。
そのイメージがリアルになれば、タイムラグはあれど必ず現実が追いついてきます。
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