生まれてきたことが苦しいあなたに
こんなに奥が深い話だったとは。
一度も生まれなかった人は、決して死ぬことがない。だとすると、死は生に内在していると言える。
死は生に内在するものであるから、生はほぼその総体において断末魔と化する。 (『絶望のきわみで』 31
死に近づくほど私たちはこの上なく生を意識し、 本当の人生 を充実させてしまうわけだ。これはペシミストたる私たちが望んだことだろうか? むしろ、私たちはこういうことすべてにうんざりしているのではなかったか。
死は生を構成している最後にして最大の要素だ。だから解脱者は、死も生もまとめて廃棄しなければならない。
彼は生を超越する仏教などの「知恵」ではない、解脱の称賛と同時にその挫折を刻まれた、いわば地上的な「知恵」を私たちに教えてくれる。だから私たちは彼に学ぶことが
「ペシミストたちの王」シオラン。この陰鬱な思想家の思索と執筆は、つねに厭世的なことがらに捧げられてきた。怠惰、死、自殺、憎悪、衰弱、病気、人生のむなしさ、生まれてきたことの苦悩……。ことほどさように、シオランは「暗い」。しかし、あるいはだからこそ、彼の清々しいほどに暗い言葉の数々は、生まれ生きることに苦しみを抱く私たちが人生を楽にし、生き延びるために役に立つ。本書は、気鋭のシオラン研究者が、彼の言葉と時に批判的に伴走しながらその思想をひもといた、待望のモノグラフである。いまこそ読まれるべき、魅惑的な思想家のすべて。 https://m.media-amazon.com/images/I/51xBJprlLlL.jpg