ケインズ
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ケインズ『雇用と利子とお金の一般理論』要約
22. 戦争の原因はいくつかある。独裁者が人民を操るとか。でもそういう民衆の扇動に火をつけるのは、何よりも戦争の経済要因、つまり人口圧力と市場を巡る争いだ。市場は19世紀の戦争には重要な役割を果たしたし、ここでの議論でも重要だ。
23. 前章では、19世紀後半には国内の自由放任(レッセ・フェール)と国際的な金本位制のおかげで、政府としては国内の経済問題の解決策として市場をめぐって競合する以外に手がなかったんだ、ということを指摘した。失業が起きたら、政府としては国際収支を改善する以外に産出を改善できなかった。
24. 経済学者たちは、これが国際分業と各国の利害をうまく調和させてると喜んでいたけれど、でもそれには別の影響があった。もののわかった政治家たちは、国として市場を求めて闘争しないと衰退する、というのに気がついていた。でも国が国内政策で完全雇用を実現できるなら、国同士でけんかする必要はなくなる。条件次第では国際分業も国際融資も行われるけれど、でも交易条件を改善するために別の国に自国の商品を押しつけたり、輸入品を毛嫌いしたりする理由はなくなる。
ケインズ『雇用、利子、お金の一般理論』全訳
ジョン・メイナード・ケインズ (John Maynard Keynes), 1883-1946.