ステレオタイプ適用を促進する条件
このドキュメントについて
佐藤まみhealthy-sato.iconの読書メモ
社会心理学(補訂版)より
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ある社会的集団 (人々) に関する知識,信念,期待(予期) によって構成された知識構造
集団カテゴリーに対する知識あるいは信念
活性化→適用というプロセスをたどる
ステレオタイプの活性化は、意図と無関係で自動的、回避不能
ただし、判断に用いるかどうかはある程度意識してコントロール可能
適用が促進される条件
判断の対象となっている他者についての情報が十分にないとき
自己に脅威が与えられたとき
私たちには自己評価を維持したいという動機があるため、自己評価が脅威にさらされるとその脅威から逃れようとする(第4章参照)。否定的な評価による自己に対する脅威を逃れる方法の1つは,否定的評価が誤りであるとみなすことである。もし評価者に評価能力が十分にないのであれば、その否定的評価の信憑性は低く退けることができる。そのため,このような状況下では,人は,厳しい評価者に対して否定的なステレオタイプをあてはめるという方路をとりやすい。つまり、否定的評価をされることで自己が脅威にさらされると,自己評価を維持するために相手に対して適用可能な能力次元のネガティブなステレオタイプをあてはめてしまいやすいのである。
池田謙一; 唐沢穣; 工藤恵理子; 村本由紀子. 社会心理学(補訂版) New Liberal Arts Selection
影響を少なくするポイント2つ
認知資源の有無
ステレオタイプ適用を避けようとする動機の強さ
修正できるのか?
直接推論の修正は難しい
判断の傾向を認知することに加えて、その程度を知る必要がある
カテゴリー情報の使用を減少させる介入はよさげ
具体的には, 特定の集団カテゴリーとそのステレオタイプ知識の結びつきを弱める訓練, ステレオタイプに反する人々(女性の数学者,男性の料理研究家など) の情報を多く呈示したり, そのような人々のことを思い出させる, ステレオタイプ適用の対象となっている集団の人物になったところを想像してみるなどの方法が提案され, 一定の成果を上げている。
池田謙一; 唐沢穣; 工藤恵理子; 村本由紀子. 社会心理学(補訂版) New Liberal Arts Selection (p.135). Kindle 版.
これらをふまえると, バイアスの修正に対する特効薬は残念ながら存在しないようであるが, 私たちの推論や判断はさまざまな影響を受け, さらにその影響を排除しようとしても簡単にはできないことを理解しておくことは重要なことだと思われる。 たとえバイアスを正確に修正することがかなわなくても,どのような状況でどういったバイアスが生じやすいのかということについての推論を正しい方向へと導く助けになるだろう。 池田謙一; 唐沢穣; 工藤恵理子; 村本由紀子. 社会心理学(補訂版) New Liberal Arts Selection (p.135). Kindle 版.