解像度を上げる
このドキュメントについて
佐藤まみhealthy-sato.iconのインプットメモ
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以下ハイライト
症状でなく病因をみつける
こうした市場の課題は、企業や個人の課題の集積や、市場の制度が生んだ「症状」です。「病因」は、「目の前にいる一人の顧客は、いったい何に困っているのか」というミクロな顧客の課題です。お金を払うのは顧客であり、顧客の課題が分かっていなければ、適切な製品(病因に対する薬)を作ることができません。そして適切な製品を作ることができなければ、市場の課題という症状を解決することもできないでしょう。
馬田隆明. 解像度を上げる曖昧な思考を明晰にする「深さ・広さ・構造・時間」の4視点と行動法 (p.145). Kindle 版.
市場の課題と顧客の課題を混同しない
たとえば皆さんが人材マッチングビジネスを始めたいとしましょう。「人材の需給のマッチングがうまくいっていない」という課題を設定し、「マッチングをうまくいかせるために、人材紹介業を始める」ことを解決策としてビジネスを始めると、おそらく険しい壁にぶつかるでしょう。
マッチングがうまくいっていないという市場の状況を症状として捉え、それが起こっている原因である顧客の課題、つまり病因を探り当ててそれを解決しなければ、良いサービスを作ることはできません
病因は「働きたい時間が合わない」という場合もあれば、「賃金形態が合わない」ということもあるでしょう。それらを特定してはじめて、良いサービスを作れるようになります。
馬田隆明. 解像度を上げる曖昧な思考を明晰にする「深さ・広さ・構造・時間」の4視点と行動法 (p.144). Kindle 版.
一度にすべてを解決できないので、スコープを決める
良いシステムには、必ず弱いところがあります。たとえば戦略はある種のシステムですが、良い戦略には必ず強みがあると同時に、弱みもあります。戦略とは何かをしないと決めること、つまり省くことでもあり、やらないと決めたところには必ず弱さが生まれるからです。たとえば、戦略的に資源配分をあえて減らしたところにはリスクも生まれてくるでしょう。組織も一つのシステムであり、必ず弱い面があります。すべての目的に対して完璧に対応できる組織設計はありません。一般的に、組織の生産性や効率性を重視すると、自由度は薄れ、創造性は失われます。創造性を重視して自由にすれば、効率的な業務執行は難しくなり、生産性は上がりづらくなるでしょう。どちらを選ぶにせよ、組織の構成員からは「我が社は創造性が低い」「我が社は生産性が低い」といった不満が出てきます。しかし、システムには弱みが必ずあるので、不満が出てくるのは必然でもあるのです。「今回のシステムはここが強いけれど、ここには弱さがあり、これは意図的に目をつぶっている」と言えなければ、良いシステムであるとは言えません。
馬田隆明. 解像度を上げる曖昧な思考を明晰にする「深さ・広さ・構造・時間」の4視点と行動法 (pp.416-417). Kindle 版.
自分たちの解決策でどこからどこまでを担当するのか、全体のシステムのなかで境界をうまく区切り、あえて特定の領域には手を出さないという判断をする
素晴らしいホテルを運営しようとして、すべてのサービスレベルを高くしようとすれば、どうしても人が増え、価格も高くなってしまいます。だからこそ、何をして何をしないかという取捨選択、つまりトレードオフをあえて作ることがビジネスでは求められます。
まずは重要で解決可能な課題から始める
大きな課題の一部でありながらも、重要で解決可能な課題を最初に選び、その課題に対してどのような方向から解決策を差し込むと、市場に楔が打ち込めるのか、あるいはドミノ倒しが起こって周りのピンがどんどんと倒れていくような課題解決の連鎖が起こるのか、そうしたストーリーをきちんと言えるかは、解決策の解像度の高さをチェックするときのポイントにもなるでしょう。