新版MBAクリティカルシンキング
クリティカルシンキングで達成できること
「物事を正しい方法で正しいレベルまで考える」
クリティカルシンキングの4つの基本姿勢
①目的は何かを常に意識する
イシュー→そもそも何を考え、論じるべきか
②前提条件、置かれた環境に合わせて考える
離見の見
③イシューを踏まえたうえで、「考える枠組み」を考える
個別具体に飛びつかず、まず要素分解する
④問い続ける
どこまで問い続けたらいい?
クリティカルシンキングの3つの方法論
①正しく論理を展開する
演繹法と帰納法
②因果関係を把握する
原因と結果の関係を誤認していないか確認する
③構造的にアプローチする
バラバラのパーツをパーツごとで捉えるのではなく、構造化して網羅的にとらえることで抜けもれを防いで生産性を上げられる
第1章 論理展開
演繹法
三段論法とも呼ばれる
ルール、一般論→観察事実→結論
観察事実がルールの十分条件になっているとき、そのルールを観察事実に適用できる
例) 人間はいつか死ぬ→私は人間である→私はいつか死ぬ
これには落とし穴がある
帰納法
共通点を見出してルールや結論を導き出す
事実A→事実B→事実C→ルール、結論
連想ゲームなので、有意な結論を出すにはある程度の知識が必要
論理展開のチェックポイント(落とし穴)
共通
間違った情報→論理展開を歪める
演繹法
隠れた前提→当たり前すぎて省略してしまうと、共通認識がないところでは真意が伝わらない可能性がある
前提が示されないと推測によって悪い方向に邪推されてしまう可能性があることも考慮する
論理の飛躍→途中の論理展開を飛ばすとき、信憑性のうすいものが入り込む余地があるため気をつける
ルールとケースのミスマッチ→こじつけでもなんとなく意味が通っているように感じること、知識が相手と同じくらいないと丸め込まれる
帰納法
軽率な一般化→先入観が固まってしまうと解除が難しいので、結論を出す際には他の可能性を常に考える
不適切なサンプリング→サンプルが少なすぎる、偏っているようなことがないか考える
第 2章 因果関係
問題解決において、よく原因を考えないまま解決法だけをなんとなく決めてしまうことがある
なぜこういう現象が起きているのか、その原因は何かという問いかけを常に行う姿勢が大事
因果関係と言える条件
①時間的順序が正しいこと→原因の後に結果が起こるという順序を守る
②相関関係が存在すること→関連して起こることが確かめられる
③第3因子が存在しないこと→それ以外の要素で2つに相関関係があるように見ることがあるのでそれを排除する
因果関係の調べ方
科学の領域では対照実験で見極めている
ビジネスの現場ではちゃんとしたデータを揃えることがかなり厳しい
また、それが未来永劫使えるかどうかもわからない
結果として精度の高いであろう推量・類推を結論とするしかない
そのためには十分な知識と経験が必要
コツは知識と経験を最大限に活かしつつ、それにとらわれすぎないこと
因果関係のパターン
①単純な因果関係
②にわとり-たまごの因果関係
③複雑な因果関係
にわとり-たまごの因果関係
原因が結果を生み、その結果がまた原因になる因果関係
非常によく起こる
経営上よいたまご-にわとりの因果関係を好循環、悪いものを悪循環という
構成要素が2つとは限らず円循環するパターンもある
サイクルが回り始めると止めるのが難しい
悪循環の場合、同時に何個もの要素に働きかけて止める必要がある
そのため、回り始めのところにしっかりとしたアクションをとる必要がある
悪循環を止めるためには固定観念から離れて現状を認識する必要がある
→それを実現するのがクリティカルシンキング!
視野を広げすぎて因果関係が複雑になりすぎることは、打ち手を曇らせる
どこが問題の根幹なのか捉えて、ある程度焦点を絞って考えることが大事
原因を深く追求する
①「結果」を具体的に分解して考える
結果に関連する要素が多すぎる場合、結果をブレイクダウンして要素それぞれに対する原因を考えることで具体化できる
時間がかかりすぎるのでここでは「分解」にこだわらなくてよい、ダブりや漏れがあっても気にしすぎない
②いったん「Aの原因はBだ」と考えたところで止まらず、「ではBの原因は何?」とさらに考えてみる
鋭い打ち手を見つけるには本質的な問題を掘り起こす必要があるから
トヨタの5回の「なぜ?」を繰り返せ by大野耐一
目的と手段
因果関係に似ているものとして「目的と手段」がある
原因と結果は過去のことであるのに対して、目的と手段は基本的に未来のことを意味する
目的を達成するための手段は1:1対応であることは稀である
そのため目的に対して無数の手段をイマジネーションによって生み出すことが必要になる
→ここからも原因と結果をむずびつけるのが難しいことを証明できる気がする
因果関係を考える際のチェックポイント
①直感による判断
身近なn=1事象による誤認
ハロー効果による誤認
②第3因子の見落とし
③因果の取り違え
④最後の藁
順序が1番最後のものを直接的な原因を求めてしまうバイアス
↑ここまでは無意識的に出てしまう思い込み(スキーマ)によって生まれる
対応策は、スキーマがあることを認めて上手く使いこなす
⑤真の目的が共有されない
⑥手段の目的化
⑦予期せぬ副産物
因果を生み出そうとして手段を講じた結果、甚大な悪影響が出る
「勉強頑張ったらお小遣い」をあげるのように、本来は勉強をやらせることが目的だが、結果として宿題を友達にやってもらったりなどして、お小遣いをもらうことが目的化する
因果関係があることを証明することは難しく、もっというと因果関係がないと結論づけるのはさらに難しい