記事紹介: 卓球王国WEB | 【TOPICS】新世界ランキングと「世界ランキング至上主義」
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2018/01/04
こういった事情によって、日本選手だけが熱心にツアーに出るようになった。以前はジュニアサーキットやU21(21歳以下)の試合もレーティングポイントに加算されたので、日本選手はツアーはもとより、ジュニアサーキットやU21にも出まくり、海外の関係者からは「日本選手はマイレージプレーヤー」と揶揄(やゆ)された。つまり、航空会社のマイレージカードのように移動距離でポイントを獲得していたこともあった。もちろんある程度の強さがなければ、マイレージもたまらないのだが・・・。
従来の世界ランキングの盲点は、レーティングがあるために強い選手はすべてのツアーに出なくてもランキングを維持できたことだ。レーティングポイントは一度獲得すると減ることはなく、消失するのはボーナスポイントのみ。試合に出ないでランキングから消えたとしても、またツアーに復帰すれば、すぐに以前のランキングを取り戻すことができる。ベテランになったトップ選手や中国選手でも、要所要所でのツアーに出れば、自分のランキングを維持できた。
一方、2018年1月からの新ランキングでは、過去1年間の上位8大会のポイントの合計でランキングが決まる。つまり、なるべくツアーなどに多く出てポイントを獲得することが、世界ランキングを上げるためには重要となる。
このシステムはテニスのランキングシステムと似ている。狙いは、トップ選手をなるべく多くのツアーに出させることだ。ITTFとしては各地のツアーにトップ選手が出てほしい。各地のスポンサーや冠スポンサーの獲得にも影響するからだ。
しかし、テニスと違うのは、前述したように多くの卓球選手、特にヨーロッパ選手がプロリーグを生活の基盤にしていることだ。ツアーに参戦するほどの経済的なバックボーンが選手にあるのか。プロリーグとの両立が選手たちを悩ませることになる。
また、日本選手の過剰なほどのツアー参戦は減るのだろうか。
そうはならないだろう。世界ランキングが第一優先の選考基準がある限り、ツアー参戦は積極的に行われ、派遣の予算がある限り、「経験のため」という目的でジュニアサーキットやチャレンジシリーズなどへの若手の参戦は続くだろう。もちろん、それは選手にとって悪いことではない。
世界ランキング至上主義は、日本にとっては避けられないやり方とも言える。現状では、日本は分厚い選手層を持っていて、中国のように協会がビッグゲームの代表を決めることは不可能だからだ。自由競争が原則なので、協会が一方的に日本代表を選ぶと選考に外れた選手や母体からクレームも来るだろう。その母体からの不満を解消するために、世界ランキングによる選考は必要不可欠のものとなっているからだ。世界ランキングが、自由競争による公平さの象徴的なシステムなのだ。
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