ルールブックにプレイヤーの全力プレイ義務を明記することと、それの副作用
このことを考える発端となったayuhaさんのtweet
「レストランに入って金は払ったけどほぼ残して退店」という行動は、倫理的にダメなんですがルール的に裁き切れなそうですよね。
例えばTO視点で、大会で参加者が「エントリーはしたけど出場するかは自由ですよね?」「誰でも勝ちたい訳じゃないんですよ?」と言ったらどうしましょう?
実はそんなこともあろうかと、ウメブラ等で使っている『オフ大会共通ルール』では「選手は各ゲームが定める勝利を目指すものとする」とルールに書いて置いてあります。
(他の大会の方も使って良いルールとして公開しているのでご活用下さい。)
それに対する私の引用RT
一方で、試合にわざと負けたほうが得になるような状況が発生すると"歪み"が発生してロンドンオリンピックのバドミントンのときみたいに爆発する。総当たりだと起きがちで、スマブラ界隈だと2GG Championshipのしゅーとん対キリハラがこれに近い状況だった。
私の立場
「ルールブックにプレイヤーの全力プレイ義務を明記すること」には賛成
なんか上の私のtweetだと、そういうルールを明記することに反対に見えますね。言葉って難しい
英語だと、失格理由として「not using one's best efforts to win a match(1つのマッチで勝利するための努力を怠ること)」と言った形で明記されることが多いっぽい。この英文で検索するとこのトピックについて英語圏での議論が見つかる。
一方で、トーナメントシステムによっては1ゲームでの勝利が必ずしも優勝につながるとは限らない。
上記のバドミントンの試合も、わざと無気力試合をしたのではなく、あくまで「優勝するための最善手」としてそういう選択をせざるを得なかったという意味では被害者であるとも言える
なので、トーナメント運営者は、1ゲームでの勝利が大会での優勝に"極力"つながるようなトーナメントシステムにしなくてはならない
要するに、勝利を放棄する試合がなるべく発生しないように考えましょう、ということ
でも、「勝つほうが絶対に得」なトーナメントシステムは簡単に見えて意外と難しい
総当たり予選は、負けが得になる状況を生み出す温床。とは言え、じゃあ総当たりが絶対に悪かというと、全くそうではない
総当たり予選でも、無気力試合を避ける工夫がいくつかある。下記参照
その他の雑多な考えあれこれ
「勝利を放棄する」戦略が発生する例
予選と本選があって、本選で戦う対戦相手を操作するために、予選でわざと負けて順位を落とす
予選敗退が確定しているプレイヤーと、勝てば予選通過が決まるプレイヤーの対戦で、前者が後者に勝ちを譲る
賄賂の温床
大相撲で起こりがち
「勝つほうが絶対に得」なトーナメントシステム
シングルイリミネーショントーナメント
ダブルイリミネーショントーナメント
負けたほうが得な状況もあるかもしれないけど、ほとんどの場合はリスクが高すぎて誰もやらない、と思う
総当たり予選 かつ 予選1位だけ通過
でも、総当たり予選で1位だけ通過のトーナメントってあんまり無い。うまく言えないけどやらないほうがいい気がする…
避ける工夫
予選、本選を分けない
「予選n位とm位が本選で対戦」という形にすると勝ちを操作するインセンティブが生まれる
シングル/ダブルイリミネーション形式でも、予選と本選を分けると起こってしまう
総当たりをしない
とは言え、大会をショーとして考えるとこれは現実的に難しいことが多い
予選通過後の組み合わせを固定せず、抽選等で決める
これは、トーナメントに運要素にもたらしてしまう副作用がある
順位が確定する最後の試合を同時に行う
同時じゃなくても、情報を遮断するような仕組みがあれば似たような効用が得られる
まぁ今の時代で情報を遮断するのは難しすぎるかな
「2GG Championshipのしゅーとん対キリハラ」とは
予選敗退が決まっているキリハラさんと、勝てば予選通過が決まるしゅーとんさんの対戦があった。もし2人が共謀すれば(賄賂を渡すなど)、無気力試合は発生しうる状況だった
結果としては、2人とも全力で試合をして、キリハラさんが勝利
グレーゾーンの話
勝負事には、常に全力よりも部分的に負けを選択したほうが有利がケースが多くある(「損して得取れ」「肉を切らせて骨を切る」)。それをどこまで許容するか、という一般的な問題があると思う
例えば、敬遠は、1打席という「部分的な」負けを選択している、とも言える
野球の敬遠は現状では許されている。
甲子園の松井秀喜のような例外もあるけれど…
じゃあ、野球の日本シリーズ等で、相手の絶対的エースが登板する試合をあきらめて戦力を温存する戦略は許されるか?
要するにn本先取でわざと1本落とす戦略で、野球のようにリソースマネジメントが必要な勝負事で起きがち。これは許されてはいるというよりかは強要させようがないという側面が強いかな。1ファン目線で言うと、全力対全力が見たいなぁという気持ち。
これまでは1大会で議論していたけど、大会を跨ぐ場合もある
大きい大会(オリンピック等)でのシードを操作するために、それ以外のトーナメントでわざと負ける、など
超余談
「水曜日のダウンタウン」の「ダブル八百長対決」という、「対戦相手同士が両方とも負けを目指す」「ただしプレイヤーは相手が負けを目指しているとは知らない」という企画がありましたが、めちゃくちゃおもしろかったです。