デジタル公共財
デジタル公共財とは、ソフトウェア、データセット、AIモデル、標準、またはコンテンツの形をした公共財で、一般的に無償の文化的著作物であり、国内および国際的な持続可能なデジタル発展に貢献するものである。
「デジタル公共財」という用語の使用は、ニコラス・グルーエンが「21世紀の公共財の構築」を執筆した2017年4月に早くも現れており、市民へのより良いサービス提供のために国家規模で実装される新技術の可能性に対する認識の高まりとともに人気を博している。デジタル技術はまた、持続可能な開発目標(SDGs)を達成するための手段として、国、NGO、民間企業によって認識されている。 ユニセフやUNDPを含むいくつかの国際機関は、デジタル・インクルージョンの問題、特に新興経済国の子どもたちの問題に対処するための可能な解決策として、DPGを模索している。→ ユニセフとデジタル公共財 定義
ほとんどの物理的資源は限られた供給量で存在する。資源が除去され使用されると、供給は希少になるか枯渇する。希少性は、資源をめぐる競合を引き起こす可能性がある。デジタル公共財は、枯渇せず、排他的で、競合しないという性質を持っているため、それを管理するためのルールや規範は、物理的な公共財の管理方法とは異なる可能性がある。デジタル公共財は、枯渇することなく、無限に保存、コピー、配布することができ、コストもゼロに近い。希少性よりもむしろ豊かさが、デジタル・コモンズにおけるデジタル資源の固有の特徴である。
デジタル公共財は、非競争性や非排除性など、公共財といくつかの特徴を共有している。
デジタル公共財は特に低所得・中所得諸国では、デジタル技術とデータの潜在的可能性を解き放って、「持続可能な開発目標」(“Sustainable Development Goals” SDGs)を達成するのに必須である。インターネットは本来、協働と実験性を奨励するオープンソースを規範にした公共管理ネットワークとしてスタートしたが、時が経つにつれ、オープンソースと公共性の占める割合は大幅に減少した。よって、より有益なオンライン情報に、よりそれを必要とする人々がアクセスするのが特に難しくなった。
(中略)現在、デジタルソリューションへのアクセスは、著作権や所有権制度によって制限されていることが多い。既存のデジタル公共財の大部分は、アクセスするのに必要な言語、内容、インフラストラクチャーなどの理由で流通にむらがあり、アクセスしにくくなっている。適切なデジタル公共財やオープンソースソリューションがあったとしても、サポートや追加投資が必要だったり、うまく実用するにはスケールアップが必要だったりする。 * 「持続可能な開発目標」(SDGs)を達成するには、一丸となってデジタル公共財18構築のために努力することが主要な成功要因 * となるであろう。このような公共財プラットフォームがいくつか誕生している。そこでは、報告書でパネルが強調しているように、頼れるプラットフォームが不足している現状に対応したマルチステークホルダー型のイニシアティブ、デジタルパブリックグッズアライアンス(”Digital Public Goods Alliance”)19 が最も主要である。アライアンスの取り組みは、質の高いデジタル公共財を生み出すプロセスを加速化するために、あらゆる方式でデータを共有しスケールアップするための技術インフラ開発を目指すグローバデータアクセスフレームワーク(“Global Data Access Framework“)の努力を補完している。 このようなイニシアティブは、デジタル公共財として使用可能なデータを増やす一方、プライバシーと秘密性を尊重しながら、データセットへのオープンアクセスをいかに提供するかを官民セクターに指導するオープンデータの共通基準開発が不可欠である。デジタル公共財実用化の主軸となるのは、インクルージョンを確保しつつ、テクノロジーとデータ利用への信頼性を高めるための強固な人権とガバナンスのフレームワークである。
この定義は、オープンソースソフトウェア、オープンデータ、オープンAIシステム、オープンコンテンツコレクションがデジタル公共財であるかどうかを判断するために使用される9つの指標セットであるDPGスタンダードを通じて運用される。ひとたびデジタル公共財と認められたソリューションは、DPGレジストリで発見することができる。DPGAは現時点では特定の標準をデジタル公共財として積極的に評価していませんが、DPGの地位を獲得するための基本的な基準として、すべてのDPGが適切な標準を遵守することを義務づけることで、その重要性を認識しています。 https://gyazo.com/ad0ea9428b5c05497cfcacfba849df18
財を排他性(excludability)と消費の競合性(rivalry in consumption)の観点から分類する四象限の図が有名