The Value of Open Source Software
ChatGPT.iconこのレポート**「The Value of Open Source Software」**は、オープンソース・ソフトウェア(OSS)の経済的価値を定量的に評価する研究です。主なポイントは以下の通りです。 1. 研究の目的
OSSは現代のデジタル経済に不可欠だが、その価値を測定するのは難しい。
OSSは無償で利用でき、中央集権的な使用記録がないため、経済指標ではその貢献が見えにくい。
これまでの研究はOSSの開発コスト(供給サイド)の推定に留まっており、OSSの使用による価値(需要サイド)を十分に捉えられていなかった。
2. 研究の方法
世界中の企業で使用されているOSSを調査するために、以下の2つのデータソースを活用:
Census II データセット:企業が製品開発に利用しているOSSを追跡(内向きのデータ)。
BuiltWith データセット:企業のウェブサイトで使用されているOSSを特定(外向きのデータ)。
OSSの価値を2つの視点から推定:
供給サイド(開発コスト):OSSをゼロから再作成するのにかかるコストを計算。
需要サイド(利用価値):OSSが存在しない場合、各企業が独自に同じ機能を開発するコストを推定。
3. 主要な結果
OSSの供給サイド価値(OSSをゼロから再作成するコスト)は 41.5億ドル。
OSSの需要サイド価値(企業がOSSを利用することで得られる価値)は 8.8兆ドル。
OSSがなければ、企業のソフトウェア支出は 現在の3.5倍 になる。
プログラミング言語ごとの価値:
Go(803百万ドル)、JavaScript(758百万ドル)、Java(658百万ドル)が最も高い供給サイド価値を持つ。
需要サイド価値もGoが最も高く、JavaScript、TypeScript、C、Java、Pythonが続く。
OSSの価値は極端に偏っている
供給サイドでは 上位5%の開発者が93%の価値を生み出している。
需要サイドでは 上位5%の開発者が96%の価値を生み出している。
業界別のOSS利用価値
最もOSSの恩恵を受けている業界:
「専門技術サービス(43億ドル)」
「小売業(36億ドル)」
「行政・サポートサービス(35億ドル)」
OSS利用価値が低い業界:
「鉱業」「電力・ガス」「農林水産業」
4. 研究の意義
OSSの価値を定量的に示し、企業や政府がOSSへの投資を増やす必要性 を強調。
多くのOSS開発者が無償で貢献している現状 を踏まえ、OSSの維持・発展のための資金支援の重要性を指摘。
政策的には、OSSを単に「無料のツール」として扱うのではなく、デジタルインフラとして支援する必要性を示唆。
まとめ
この研究は、OSSの経済的影響を可視化し、OSSエコシステムの持続的な成長のための政策提言にもつながる内容となっています。