MUSE(Modular Stack of Evidence)
MUSEは、Beacon Labsが開発を主導しているデジタル公共財に特化したEBP支援システムであり、エビデンスの収集、活用、強化までを行うことを可能にしている。前述で指摘したように、従来のデータベース群は有用性が高いけれども、専門性が高く活用の仕方が分かりにくいことが課題であった。MUSEはオープンソースの利点を活かしたコンポーザブルな設計を採用し、エビデンスをただ集めるだけでなく、実装へ橋渡しする仕組みを中核に据えることで課題解決を図っている。MUSEが重視するのは、構造化されたエビデンスを用いて「ロジックモデル(実行計画)」を組み立てることにある。ロジックモデルとは、ある取り組み(事業・プロジェクト・政策)が、どのような資源を使い、どのような活動を行い、どのような成果につながるのかを因果の流れとして整理した図式である。MUSEでは、介入・指標・成果をエビデンスで結び付け、因果関係に関する仮説をロジックモデルとして明示し、容易に構築・実装できるようにしている。MUSEの主要なコンポーネントは以下の3つがあり、これらの核となる機能をシームレスに統合することで、エビデンスに基づいたロジックモデルの作成を可能にしている。
エビデンスの登録(Curation):世界中のエビデンスを集約し、再利用可能な形式に構造化する。
エビデンスの活用(Citation):構造化されたエビデンスを組み合わせ、介入・指標・成果を結び付けたロジックモデル(実行計画)を容易に構築・実装できるようにする。
エビデンスの強化(Cultivation):実装データのフィードバックとメタ分析により、既存エビデンスを強化し、新たな知見を創出する。