Prologue
ほとんどの植物は、花粉と種子が運ばれるときしか、その場から動くことができません。
どんなにのんびりした人でも(むしろのんびりしている人ほど?)、同じ場所にとどまって一生を過ごす植物の生き様を、より深く観察し知ることができるのではないでしょうか。私もそのひとりでした。森や草原の中で風の音を聞きながら図鑑を広げて寝転がって観察するとき、そして彼ら/彼女らがどんな生物とつながり合って子孫を残し今の姿になったのかを想像していると、どんな嫌なことも忘れてしまいます。
https://gyazo.com/b6211230d132d19a53d5ffbb81d0f802 林床の足元数cmにも何種もの植物が共存している
https://gyazo.com/686c35c7829fda940d45bca1a618c9de ブナの芽生え
私は地方で生まれ育ったものの、幸いそれなりに恵まれた教育環境の中で過ごしてきたと思います。それでもなお、大学入学後に他の学生と比較したとき、高校までの教育格差(特に地域格差)というものをまざまざと感じました。学問はいつ・どこでも・誰にでも開かれているべきであり、いかなる社会的経済的障壁があろうとも、最新の学問体系や知識を学ぶ機会は確保されるべきです。
そのためここではおもに、特に植物分類学や生態学を学ぶ際に有用となる情報を収集して、解説とともに公開していきます。
これを読んだ誰かが、植物と、彼ら/彼女らをとりまく生物・環境とのつながり合いの、進化のロマンや謎の扉を開くきっかけとなることを願ってやみません。