皮膚にふれると起こる無意識の反応
堀田 晴美
心身健康科学 10巻1号 2014年
痛みは通常、身体に害を及ぼすおそれのある有害な刺激(侵害刺激)によって誘発される。これは神経系の働きによって起こる。身体に危険な刺激が加わると、専用の神経が活動し、侵害情報が中枢神経に伝えられ、大脳皮質へ送られ、痛みの感覚を起こす。一方この情報は、感覚を起こすだけでなく自律神経にも影響を与える。例えば、心臓を調節する自律神経活動が高まって心臓がドキドキする。 体内でオピオイド(鎮痛物質)が作られる。強いストレス時に放出され、「緊急時には痛みを感じにくい」などの現象に関与する。 ごく軽い皮膚刺激(タッチ)にモルヒネに似た遅い反射の選択的抑制効果があることを見出した。痛いところを手で押さえるのとよく似ている。タッチを10分間加えると、抑制効果は刺激中から始まり、皮膚刺激をやめた後も約20分間持続する。