2019/05/23 Optimizing Ad Refresh In Mobile App Advertising Authors
Florin Constantin, Christopher Harris, Samuel Ieong, Aranyak Mehta, Xi Tan
Google
ABSTRACT
モバイルアプリ広告における広告更新頻度(ad refresh)の最適化について検証した。 広告更新頻度についての大規模実験から 広告を更新しても総クリック数はほとんど変わらない という、既存のクリック予測モデルでは説明できない結果が明らかになった。
これに対応するため、2段階のクリックモデルを提唱した。
このモデルの理論的基盤をもとにして、実際のサービスに実装され 利用されている。( Google AdMob )
INTRODUCTION
モバイルアプリ経済圏はここ数年成長していて、中でも広告が主たるマネタイズ手段である。
モバイル広告が従来のディスプレイ広告と異なるのは 広告の表示期間 である。本研究では特に バナー広告 に着目する。バナー広告はリクエストに対してレスポンスすると、更新頻度 (refresh rate) と呼ばれる特定の期間だけ ある広告が表示され、その期間が過ぎると次の新しい広告が表示される。
決められた更新頻度と既存の広告オークション ではモバイルアプリにおける特有な事象(ユーザーがアプリ上に滞在する場合、広告のセッションを見ることになるということ:1セッションの中で見る広告が変わる)に対応できない。
そのため、この論文では、広告の画面表示時間や広告の繰り返しがユーザーの広告への反応にどのように影響し、またこれがセッション全体に対する最適なオークションにどのように影響するかを計測し、モデル化する。
既存クリックモデル
広告の更新回数や順序付けなどの時間的な特徴の関数としてのユーザーのクリック行動に関するデータ分析や実験分析から始めた
クリックまでの時間
ある広告が初めて Imp されてからユーザーがクリックするまでの時間(クリック遅延)と累積クリック遅延数の関係したところ、CTR は表示時間と関連することが分かった。より長く広告を表示させると CTR は上がるが、効果は逓減する。
https://gyazo.com/6e583e64e45c07d7320f33b5cba104bb
クリック遅延に対するクリックの累積分布。時間(クリック遅延)は x軸で、値H によって上限が設けられ、分布の四分位は H/10, H/4, H/2 である。ある時間までは表示させた方がクリック数を効果的に増大できる。
CTRへの過去の Imp の影響
あるセッションで ある広告が繰り返し表示されることへの CTR の影響度合いを見た
後に来る Imp ほど CTR が低くなるように見える:広告の繰り返しの表示によって CTR の低下が見られる
セッション時間が長いほど広告の繰り返しが発生しやすいため、その効果を取り除く必要がある
繰り返しの広告のCTRの低下はより顕著であった
ロジスティック回帰で係数を見ると、セッションインデックスと広告の繰り返し回数の係数は それぞれ -0.05, -0.25 で、どちらも 0.001 の p値 で有意である。つまり、広告の繰り返しの表示によって CTR の低下が見られた。
https://gyazo.com/e88e6bc58abb3d94e6f90ecb16b60622
CTR はセッションとともに低下するが、繰り返し表示された広告ほど より早く低下する。
各点は同じセッション番号・繰り返し表示数をもとに多くの広告 Imp を集計したものである。
Refresh Rates の変更の影響
セッションにおけるクリック総数は 広告表示の更新率 にどれほど依存しているのかを実際のトラフィックを利用して実験したところ、対照群と実験群の間でのクリック数はかなり近かった。(結果は以下の表の通り)
∆Clicks: 対照群のクリック数に対する実験群のクリック数の比率から1を引いた数値
∆Clicks = 0% はクリック数が等しい
∞: 広告更新を行わない
クリック数の変化はほとんど見られないので、CTR の変化は更新率の変化にほぼ正比例する。
この結果を受けて 新しいクリック予測モデルの構築を考えることになった。
https://gyazo.com/292372be66b12f8416e615ea31734fb3
更新頻度の値を上げる(=更新されづらくなる)と Imp が減るので クリック数が一定の場合 CTR は上昇する
新クリックモデル
仮説:ユーザーは広告をポアソン過程に従ってランダムな回数広告枠を見るとする。ある広告を見た時 pCTR の確率でクリックする一方、そのセッション中で すでに見ていた場合はその Imp ではクリックされないとする。これは、ユーザーが本当にこの広告の過去の Imp でクリックをしたかどうかとは独立である。
pCTR は通常 ある広告 Imp に対するクリック確率と定義する一方、ここでは あるセッションにおける 広告の最初の Imp に対するクリック確率と定義する。下図では あるユーザーセッションの Imp と クリック の例を示す。
https://gyazo.com/5665e55f05b337c2a30c66a0d6aa21bb
ユーザーセッションにおける広告ストリームの例。上段は時系列順での画面に表示される広告の順番である。広告枠を目にするかどうかの ポアソン過程は広告C, D, B, C(2回目) の順に4度発火した。クリック過程は広告B に対してのみ発火した。このとき 広告B をユーザーはセッション中で初めて目にした。広告C の最初の Imp は目に触れたが、クリックされなかったので、2度目の広告C の Imp は決定論的にクリックされなかった。
クリック時間と広告の繰り返し効果
広告を固定し、ユーザーセッションで K回 この広告の Imp を示すことを想定する。それぞれの見た時間を t_k とする。V_i を i回目の広告の Imp を見たイベントとし、 C_i を i回目の広告の Imp でクリックされたイベントとする。この新モデルでは pCTR は広告の最初に Imp されたときのクリック確率であると定義する。
すると、はじめて Imp された広告の予測CTR は以下のように表せる:
https://gyazo.com/ebbee34a84aa3547509e9c914bb10c07
ある広告が1回目の Imp でクリックされる確率は、広告が見られる確率 × クリックされる確率
2回目に Imp された広告の予測CTR は以下のように表せる:
https://gyazo.com/5aa34a4d50c868ec91d3604d50b9cdf5
2回目の Imp は1回目に Imp された時間の関数として pCTR は減衰するという解釈ができる。別の差し込まれた広告の時間の長さは2回目の Imp の pCTR に影響を与えない。
同様に、以下のように一般化される。
https://gyazo.com/975556ed29b4bf35ad44c66bd18524f0
最後に、Ci (i番目のクリック)はバラバラに起こるイベントなので、以下の式を得られる。
https://gyazo.com/a3ceba86cce5fe00ebaaf9e9d96a20bc
広告オークション オンライン実験
ベースラインとなる更新率と比較しながら実験結果を示す。
表1 はオンライン割り当てアルゴリズムを用いて更新率が設定された時の 主要な広告評価指標に関する相対値を示す。
https://gyazo.com/873c08722facc41943ad731119adcd9d
Impressions: 表示期間は2位の価格に基づくので、アルゴリズムが対照群に比べて各 Imp を長く表示するので Imp 数は減少した
Clicks: Imp 数の大幅な減少にもかかわらず 僅かな変化だった。2章4項で観察された事象と矛盾しない。
CTR: クリック数は僅かな増加だったが、Imp 数が大幅な減少をしたため CTR は増大した。
Economic Efficiency(Value): (同一セッション期間での)広告価格のこの大幅な上昇によって このアプローチの良さが示されている。
Revenue: 一般的に広告価格と収益の増大は同程度である。この場合、収益は価格ほど上昇してない。おそらく CTR 予測モデルが(価格設定に用いられる)2番目の広告の CTR を低く予測したためである。
CONCLUSIONS
モバイルアプリの広告で、広告更新がユーザーのクリック行動に与える影響についての大規模な調査を行った。
実験データから、調査結果を説明可能な新しいクリックモデルを提案し、更新率の変化がどのように CTR に影響するかを決定する主な要因を特定した。
このモデルに基づいて、オンラインアルゴリズムを構築した。
実際の実験では、広告負荷を減らし、マネタイズ効率を向上させるというこのアプローチの可能性が実証された。
ユーザーが広告に注意を払っている時をよりよく突き止めることができれば、さらなるマネタイズ効率の最適化を図れる。
Discussion
新モデルと Refresh Rate の関連は?新モデルではどのように Refresh Rate が考慮されている?