2021年10月9日(土)〜10日(日)名古屋・岐阜視察
参加した研究会メンバー(敬称略・50音順):
一ノ瀬友博(慶應大)、木下剛(千葉大)、新保奈穂美(兵庫県立大)、竹内智子(千葉大)、花房昌哉(慶應大)、三輪隆(竹中工務店)、山田由美(慶應大)
*上記メンバーに加えて、木下研究室の学生数名も同行しました。
10月9日(土)
庄内緑地 / 小田井遊水地 (愛知県名古屋市西区)
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(左)越流堤、(右)公園内にあるドッグラン
庄内緑地は、庄内緑地公園として多くの市民の方に利用されていた。庄内川の洪水時には、小田井遊水地として水を貯水することで、河川の流量を減少させる仕組みとなっている。庄内川水系では、庄内川水系流域治水プロジェクトが立ち上がっており、そのなかでは小田井遊水地の機能を強化させる方向性を打ち出している。視察では、庄内緑地が小田井遊水地として機能するための越流提などを視察した。越流提は、日頃はサイクリングの道としても活用されていた。
参考リンク:
国土交通省HP 「庄内川」
洗堰緑地 (愛知県名古屋市西区)
https://gyazo.com/2618b57009fcc3ae8de56883fafb6ef2
(上)野球場
堀止緑地 / 中川運河 (名古屋市中川区)
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(上)堀止緑地(キャナルパークささしま)
長年エリアマネジメントの議論が行われている中川運河について、視察を行った。中川運河は名古屋港と都心を結ぶ水運物流の軸として長く使用されていたが、現在は1日に数隻ほどの利用に留まっている。中川運河の再生を目指して、にぎわい施設の誘導・緑地空間の整備・歴史的建築物の保全活用・アート事業などの取り組みが実施されている。
参考リンク:
名古屋市 HP 「中川運河について」
名古屋市 HP 「中川運河再生計画」
中川運河にぎわいゾーンの建築物群 (愛知県名古屋市中川区)
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(左)岡谷鋼機株式会社の倉庫、(右)バーミキュラ・ビレッジ
中川運河沿いでの賑わいをつくるために、にぎわい施設の誘導が行われている。例えば、右図のバーミキュラ・ビレッジは、鋳物ホーロー鍋のブランドであるバーミキュラ社(本社所在地:名古屋市)によるショールーム兼複合体験施設である。この施設には、バーミキュラ製品を使用したレストランやベーカリーがあり、そこで昼食を取った。
また、付近には、竹中工務店によりリノベーションされた岡谷鋼機株式会社の倉庫があった。この2つの建物は、名古屋市のまちなみデザイン賞を受賞している。
参考リンク:
岡谷鋼機株式会社 HP 「岡谷鋼機 物流倉庫建て替えについて」
名古屋市 HP「名古屋まちなみデザインセレクション選定風景・物件」
藤前干潟稲永ビジターセンター (愛知県名古屋市港区)
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(左)稲永ビジターセンター前の掲示板、(右)藤前干潟ラムサール条約登録の石碑
2002年にラムサール条約に登録された藤前干潟を視察した。稲永ビジターセンターでは、ごみ処理場を建設されようとしていた藤前干潟を守るために、市民運動が起こった歴史を学習した。訪問した時間には潮が満ちており、干潟の形状等ははっきりと確認できなかったが、魚や鳥が多く生息している様子を観察できた。
[参考リンク:]
環境省中部地方環境事務所 HP 「藤前干潟~人と自然をつなぐ翔橋」
久屋大通公園 (愛知県名古屋市中区)
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(左上)公園内の店舗1、(右上)公園内の店舗2
(左下)公園内にある管理用ワゴン、(右下)公園内での賑わい
Park-PFIの事例として、賛否両論がある久屋大通公園の事例を視察した。元々人通りの少ない並木道を伐採して、芝生広場を作り、店舗の整備を行った。公園では多くの若者で賑わっており、シアター上映などのイベントも行われていた。また、500円以上の買い物をすることで、テントやハンモックを借りれるといった取り組みが行われていた。一方で、店舗があることで外堀との緑の連続性が失われていることや、久屋大通公園と周辺のまちとのつながりが希薄であるといった課題が見られた。
さらに、近くにあるオアシス21の開発事例も視察した。
参考リンク:
日本公園緑地協会 「Park-PFI活用の手引き:第5章-4 名古屋市久屋大通公園」
三井不動産 HP「RAYARD Hisaya-odori Park - 三井ショッピングパーク」
10月10日(日)
糸貫川清流平和公園 (岐阜県本巣郡北方町)
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(左上)原田守啓先生に説明を受けている様子、(右上)公園のデザイン
(左下)公園のにぎわいの様子、(右下)平和公園としての側面
2016年に土木学会デザイン賞を受賞した糸貫川清流平和公園を視察し、事業に関わっておられた岐阜大学流域圏科学研究センター・原田守啓先生による解説を聞いた。北方町が土地区画整理事業に伴い整備した公園の事例であり、岐阜県が所管している糸貫川と一体的に空間整備した「かわまちづくり」の優良事例である。「水辺をまちにひらく」をコンセプトに、低水護岸の撤去と地形処理を行うことで、河川と公園の境界をなくして一体的な空間を実現した。公園エントランスを視点場として利用者を川への誘導するために、せせらぎ水路をデザインした。また、河川を所管する岐阜県との折衝を行う上では、水理解析を行ったり、河川区域内植樹基準の「植樹の特例の適用」の活用を行ったりと、論理を積み重ねていったそうだ。事業者・設計者・施行者がイメージを共有できるように、何度も現場での合同打合せや模型を用いた方針確認を重ねていくことで、理想的なかわまちづくりの実現につながった。また、この公園は平和公園としての性質も持っており、平和の鐘や平和都市宣言の石碑が園内に設置されている。
参考リンク:
土木学会景観・デザイン委員会 HP 「2016年 優秀賞 糸貫川清流平和公園の水辺」
土木研究所 HP 「⽷貫川における川づくり(岐⾩県 県⼟整備部 河川課企画環境係 藤井 孝和)」
自然共生研究センター (岐阜県各務原市)
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(左上)自然共生研究センターの正面玄関、(右上)宮川幸雄主任研究員より説明を受けている様子
(左下)実験に使用するバルブ等、(右下)仮想的な遊水地機能が設けられた空間
自然共生研究センターを訪問し、宮川幸雄主任研究員、河野誉仁専門研究員にセンターの概要や取り組み事例(中小河川評価ツール:EvaTRiP)の解説をしていただいた。自然共生研究センターは、国立研究開発法人・土木研究所の機関の一つである。センターの実験河川では、1本のまっすぐな河川と2本の湾曲した河川が設けられており、実際に水を流したり洪水を起こしたりすることで、研究を行っている。実験河川にはいくつかの装置や設備が設けられていた。例えば、左下の画像のように、河川の水温を変化させるために地下水を注入するためのバルプが設置された。また、右下の画像では、河川の中流部あたりにワンドと呼ばれる遊水地を模した空間が整備されている。また、この実験河川は外部の河川とも連続しており、そこに住む魚類等の生物調査を実施している。
参考リンク:
国立研究開発法人 土木研究所 自然共生研究センター公式HP
国立研究開発法人 土木研究所 自然共生研究センター HP「EvaTRiP - 河川の流れ・河床変動解析ソフトウェア」
濃尾平野の自然堤防と自然堤防集落
輪中堤(安八町、輪之内町)
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帰り際に、自然堤防集落や輪中堤を視察した。自然が作り上げた地形とそれに伴って形成された人の営みを、学ぶことが出来た。
今回の視察における行動軌跡 (木下先生提供)
https://gyazo.com/384c977d5cd94789607cd03c94006234
今回の視察では、上記のようなルートで行動した。