2020年11月28日(土)〜29日(日)足尾、渡良瀬遊水地視察
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上 視察位置図
渡良瀬川源流 足尾銅山と松木渓谷 文・写真:井本
参加者:参加者(敬称略)
一ノ瀬友博、徳江義宏、井本郁子、高橋靖一郎、竹内智子、花房昌哉、
視察コース :
小山 →思川沿いに足尾へ→昼食(通洞駅付近) →足尾砂防堰堤 →足尾環境センター →松木渓谷 → 仁田元川 →鉱山見学(トロッコ)→日足トンネル→いろは坂→ 日光中禅寺湖畔(宿)
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銅山歴史の町と書かれた商店街の案内: 最大受け入れ人数6人の小さな食堂で昼食、 銅製の街路灯が印象的
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カモシカモチーフの柵
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巨大な足尾砂防堰堤(松木渓谷への入り口)を眺めながら足尾環境学習センターへ
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松木渓谷 低木が定着しているが、草本も多く砂防堰堤や階段工からも緑化の困難さがみえる
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シカよけの柵が各所にみられる。林床にササはまったくない。
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松木渓谷 内部
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松木渓谷 入り口付近(足場を組んでの緑化工)
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河原のニホンジカ(?)の痕跡
足尾山地と日光そして尾瀬は連続しており、シカが季節移動することが知られている。
(越冬地としての足尾山地の利用)
足尾から日光にかけてニホンジカの個体数の増加が大きな問題となっており、日光の山地ではササ類の減少、樹皮はぎによる樹木被害が著しい。今回の視察でも思川沿いの樹林地におけるササの矮小化が観察された。鹿の影響については、足尾地域での被害の大きさが栃木県や環境省の調査でもあきらかになっている。
シカの影響により林床に生える植物は限られたものとなる。
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.上記の写真はジギタリス 多くの植物が枯れた林床に青々と生えていた。毒性の強い植物でもあり、シカの食害を免れて増え続けているようです。
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旧駅と倉庫
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11月29日(日)渡良瀬遊水地視察 文・写真:山田
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●参加者(敬称略)
一ノ瀬友博、徳江義宏、井本郁子、高橋靖一郎、竹内智子、花房昌哉、山田由美
●スケジュール
午前:第1貯水池(旧谷中村)、体験活動センターわたらせ視察
午後:第2貯水池(コウノトリ営巣地)、越流堤と水門、鷹見台、コウノトリ交流館視察
●渡良瀬遊水池概要
日本最大の遊水池である渡良瀬遊水地を終日かけて視察した。日本工営の徳江さんにご案内をいただいた。渡良瀬遊水地全体は南部に常時水を貯えている貯水池(谷中湖と呼ばれる)があり、その北部に第1と第2の調整池が存在する。渡良瀬川と思川(おもいがわ)と巴波川(うずまがわ)が合流して流量が増加する地点にあり、遊水池から流出した後、その下流で利根川にさらに合流する。2012年にラムサール湿地に登録されており、湿地生態系としての価値が高いため、生態系を活用した減災の一例として注目される施設である。遊水池の諸元は面積33㎢、周囲延長30km、総貯水容量17180万㎥(利根川上流河川事務所パンフレットより)。利根川の治水の要と言われており、2019年台風19号の降雨時には過去最大の洪水量約2.5億㎥を貯留(https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000758338.pdf )した実績は国土交通省が河川整備にグリーンを活用する取り組みをより推進させることにもなった。 第1貯水池視察
上述の通り貯留機能を発揮はするものの、まだ渡良瀬遊水地の治水容量は不足しているといわれており、採掘による容量確保が進んでいる。また乾燥化して外来種が増殖するのを押さえるためにも湿地として維持できるようにという目的もあるという(地下水深度が深くなっているところを採掘して浅くし、冠水頻度が上がればヨシ群落などが復活させられるという計画)。
徳江さんのご説明によるとヨシ原は地元の人が毎年火入れをしているそうで、そのおかげで湿地として維持がされているとのこと。管理の手が入らないと数年で簡単に柳などで樹林化してしまうそう。
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体験活動センターわたらせ
文字通りセンター。駐車スペースもあり、リクリエーション施設としての中心的な役割を果たしており一般の人の往来も多い。野鳥観察、水辺のリクリエーション、ランニング、サイクリングなどを楽しんでいる人が多く、スタッフの体制も情報も整っている。ここから貯水池の中に徒歩で入っていくことが出来る。研究結果のポスター発表もあり一同で見学してきた。
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個人的には以下の発表内容が気になっており上記を掲載をしたが、実は減災と湿地生態系維持というメリット以外のデメリットとして、水をずっと蓄えておくことにより周辺地域には臭いの害があることが知られている。(ちなみに視察日は冬場ということもあって?臭いは全く気にならなかった) 渡良瀬遊水地と同様にラムサール条約湿地になっている「宮城県蕪栗沼周辺水田」の湿地化の取り組みでも、ガンの環境収容力が高まったけれど、臭いの課題もある。という指摘があった。長所だけに視点が行きがちだが、地域が受容する幾つかの課題点も留意しておきたい。
出典:呉地正行 (2007). 水田の特性を活かした湿地環境と地域循環型社会の回復 : 宮城県・蕪栗沼周辺での水鳥と水田農業の
共生をめざす取り組み . 地球環境 , 12(1), 49 64.
第2貯水池(コウノトリ営巣地)
千葉県野田市が放鳥したコウノトリ「ひかる」(オス:4歳)と徳島県鳴門市生まれの「歌」(メス:2歳)のペアの雛が2020年3月22日に誕生し、東日本で初めての野外繁殖が成功した場所である。人工巣塔が湿地内に建っていて、離れた堤防から観察ができるようになっている。残念ながら歌は足の骨折が確認され捕獲された後切断手術がされたが、開放骨折部から細菌感染していたそうで10月に衰弱死している。以下に掲載するのは堤内地側の水路内に居るところ。幸いなことに視察中一同、3羽を確認することができた。行って初めて実感したのだが、結構な頻度でパラシュート飛行用のセスナが飛んでいるし、音も大きい。ただ他の地域でも新幹線の高架近くなどに滞在したりすることもあるので、安全と認識できれば順応して利用するのかもしれない。安全性と餌資源が重要な要素であることを再認識した。
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越流堤と排水門
写真の先に見えているのは越流堤。思川から溢れた水を第2調整池に流しいれるために数百メートルに渡り堤防地盤高が低くなっている。この高低差で洪水流をコントロールしている。この近くには排水門が存在している。貯留する時は排水門を閉じて、下流に流せるようになるまで(つまり利根川の水位が下がるまで)水を閉じ込める役割を果たす。水の入口と出口を確認できた。
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鷹見台(新赤麻橋)
ここは第1調整池と第2調整池の境のところ。渡良瀬川の真上に位置している。前方右側から巴波川が合流してくるのだが、普段は驚くほど穏やかな姿を保っていることを体感した。減災機能を働かせるのは非常時のみであって、はるかに多いそれ以外の時間には別の機能(生物の生息地やリクリエーション機能など)を提供できることがGIの重要性であることを改めて認識する場であった。
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コウノトリ交流館視察
最後に小山市が運営する資料館に寄った。人工巣塔が包含されるのは行政としては栃木県小山市であり、同市は一般市民の方々への情報発信や地域活性化に積極的に取り組んでいることがよく分かった。具体的には親子への浸透を図り、絵をかいてもらったり、アイディアを出してもらったり、写真を共有したり、あるいは地域でコウノトリにちなんだ商品を開発してもらったりということをしている。日本で一番のコウノトリの郷、兵庫県豊岡市は勿論規模も大きく年月も長いが、小山市も重要な地域資源として位置付けていることがよく認識された。
※徳江さん、ご案内・資料ともに、ありがとうございました。