ハーモニー(コミカライズ)
読んだ日:
劇場アニメ化のタイミングに合わせたものっぽく、キャラクターデザインなどはアニメに準拠している模様。
原作は読んだことがないものの、書評とかを見る限りでは原作のストーリーを踏襲しつつ、構成を入れ替えたり、オリジナルシーンを挿入したり背景描写を加えたりといったアレンジはあるらしい。
読んだ理由としては三巷文さんの画風が好みというのと、SF好きとしてハーモニーが気になっていたというのが主だが、めちゃくちゃ絵が上手いしストーリーも最後まで面白かったので期待通りの作品だった。 AIによって管理された誰もが健康に生きる(事を強要される)世界が舞台で、ジャンルとしてはポストアポカリプスとかディストピアにあたりそう。始めのうちはPSYCHO-PASSに似た印象を受けた。(ポストアポカリプスで文明社会を維持するために父権主義的なAIを導入。私生活のあらゆる場面でAIによる教導を受けるなど) ストーリーとしては、そんな社会に反感を覚えて管理の緩い戦争地帯で働く主人公が事件に巻き込まれ、社会に対して反感を抱くきっかけとなった親友の痕跡を追いながら事件の真相に迫るといったところ。
その中で次々に予想を裏切るような展開が続き、タイトルの意味合いも明らかになっていくのがかなり快感。
生命至上主義社会における人々の暮らしぶりが伺えるような描写もしっかりしていて、違和感なく世界観が理解できた。
またディストピア的な側面を持ちつつも、人々が幸福なユートピアとも言える社会像は物語中で実際に採用されたものとしてやはり納得感があって良い。
全四巻と短い作品だが、特に後半二巻での急展開が非常に衝撃的でかなり濃い体験だった。
てっきり健康とか自己の管理権みたいな話に落ち着くのかと思いきや、自我や意識の話になったのはめちゃくちゃ面白かった。
最後トァンが父とキアンの死の復讐としてミァハを殺し、ミァハにはハーモニーの実現した世界を与えないという選択を自らの意志で行った点は、その後自律的な選択を失う人類と対照的。
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