アメリカン・ブッダ
読んだ日:
柴田勝家のSF短編集。作者のことはアイマスの同人小説合同誌で知った。
民俗学っぽい設定とSF技術がうまく融合した不思議な世界観が魅力的。
HMDを付けて生きる少数民族の生活をルポっぽく描いた「雲南省スー族におけるVR技術の使用例」はアイデアの出オチ感はあったが、アイデアのキレが良いので楽しく読めた。
「検疫官」は1984年を思い出すディストピア感がかなり好み。この本を読んでいる読者自身が物語の虜になるメタ的な構造も面白かった。 「アメリカン・ブッダ」はアングロサクソンが冷凍冬眠に入ることでネイティブアメリカンに土地を返す流れがめちゃくちゃ皮肉が効いてて小気味よい。終盤、話のスケールがどんどんと大きくなり"ブッダ"に繋げる勢いには圧倒された。
現代SF的にはもう一捻りあると面白いのかなと思いつつ、アイデアの面白さだけでも楽しく読める短編が多かった。
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