居住空間における室内空気質指針値
諸外国におけるCO2濃度のガイドラインを調査した結果、ほとんどの諸外国で、室内空気汚染や換気の指標として、1000ppmが採用されている(表 1.1.1)。特に、シンガポール、中国香港特別行政区、韓国環境部などのアジア諸国では、日本の建築物衛生法が参照されている。ドイツでは、2008 年に連邦環境庁の室内空気衛生委員会が CO2の室内空気質ガイドラインを公表している。ドイツのガイドラインでは、健康と衛生上の問題を考慮したうえで、1000ppm以下を無害(harmless)、1000~2000ppmでは健康と衛生上の問題が上昇(elevated)、2000ppm以上を許容不可能(unacceptable)としている(表 1.1.2)。 table:表 1.1.1 諸外国における CO2濃度の室内空気質ガイドライン
諸外国(公表年) 室内濃度の指針値 対象
. ※室内空気汚染の指標
. ※換気の指標
. (許容可能な長期曝露範囲)
シンガポール環境省(1996) 1000ppm(8時間平均) 空調設備を有するオフィスビル . ※換気の指標
中国香港特別行政区(2003) 最良質: 800ppm(8時間平均) 機械換気や空調設備を有する建物や閉鎖空間 . 良質: 1000ppm(8時間平均)
韓国環境部(2003) 1000ppm 大規模店舗、医療機関等 table:表 1.1.2 ドイツ連邦環境庁による室内空気の CO2濃度のガイダンス値
二酸化炭素濃度 健康と衛生上の評価 留意点
1000ppm以下 無害(harmless)とみなされる 処置の必要なし 1000~2000ppm 有害性が上昇する(elevated) 換気状況の確認と改善(外気導入量や換気効率の増加等)
2000ppm以上 許容できない(unacceptable) 必要に応じて追加措置を試みる