別役実
別役実
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別役 実
誕生 1937年4月6日
満州国新京特別市
(現中華人民共和国長春市)
死没 2020年3月3日(82歳没)
職業 劇作家、童話作家
主な受賞歴 第13回岸田國士戯曲賞
配偶者 楠侑子
子供 長女:べつやくれい
親族 寺田寅彦
影響を受けたもの
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別役 実(べっちゃく みのる、べつやく みのる 1937年4月6日 - 2020年3月3日)は、日本の劇作家、童話作家、評論家、随筆家である。名の正式な表記は實。サミュエル・ベケットの影響を受け、日本の不条理演劇を確立した第一人者である。日本藝術院会員。
理学博士・随筆家の寺田寅彦の姉、駒の曾孫にあたる。妻は女優の楠侑子。一人娘の怜は、イラストレーターのべつやくれいとして活動している。安岡章太郎は遠戚である。
目次
1 来歴・人物
2 作風
3 社会的活動
4 受賞歴
5 作品
5.1 戯曲
5.2 テレビドラマ
6 著書
6.1 童話・小説
6.2 エッセイ
6.3 評論
6.4 戯曲集
7 未発表戯曲「ホクロソーセージ」について
8 別役実フェスティバル
9 関連人物
10 脚注・出典
来歴・人物
1937年、満州国新京特別市(現中華人民共和国長春市)生まれ。幼くして父を亡くす。終戦と同時に日本に引き揚げてくるが、母子家庭のため清水市や長野市など親戚の家を転々とする。長野北高校(現長野県長野高等学校)時代は画家を目指しつつ、聖書研究会に通うなどしていた。
高校卒業後、喫茶店のウェイターなどをしながら浪人生活を送り、早稲田大学政治経済学部政治学科に入学。鈴木忠志らと出会い、劇団「自由舞台」で演劇と学生運動にのめり込む。その結果、経済的事情により同大学を中退。処女作は『AとBと一人の女』とされているが、正確にはその前の習作として『貸間あり』『ホクロソーセージ』などがあった。
大学中退後は、土建一般労働組合の書記としてサラリーマン生活を送りつつ、喫茶店で作品を書き続ける日々を送る。1968年、『マッチ売りの少女』『赤い鳥の居る風景』で第13回岸田國士戯曲賞を受賞。この時期には「雨が空から降れば」(作曲:小室等)などの詩作もある。
三津田健、中村伸郎、高木均といった俳優がよく別役作品に出演した。1990年代に入ってからは、日本劇作家協会の創立に関わる。平田オリザとの親交も深い。
2003年から2009年3月までは兵庫県にあるピッコロシアターに併設された兵庫県立ピッコロ劇団の代表を務めていた。2013年芸術院会員に選ばれる。
エッセイ集も多数発表しており、「○○づくし」と題された事典類のパロディ的なシリーズがある。
2014年12月、青山円形劇場で新作脚本の『雨の降る日は天気が悪い』が上演予定だったが、病気療養のために演目が『夕空はれて〜よくかきくうきゃく〜』(1985年作)に変更となった。
晩年はパーキンソン病に罹患し、入退院を繰り返していた。2020年に入って体調を崩し、3月3日に肺炎で死去した。82歳没。
作風
幻想的で独創的な作風が特徴で、登場人物が「男 1」「男 2」など、固有の名前を持たないことが多い。舞台には必ずと言っていいほど一本の電信柱、あるいはそれに相当するような柱のようなものが立っている。電信柱は、別役が宮沢賢治のファンであることに由来する(これがきっかけでアニメ『銀河鉄道の夜』の脚本担当)。
社会的活動
劇作家協会の会長として著作権の問題などに積極的に意見を述べていた。特に注目されるのは、著作権の保護期間を延長しようという風潮が強まっている中、自ら作家でありながらその風潮にあえて反対の立場を取っていることである。別役自身は「これが議論の叩き台になってくれればよい」としており、必ずしも自分の意見に固執してはいないが、別役が著作権の保護期間の延長に反対の立場を取っている背景には、かつて宮沢賢治の作品をモチーフにしようとした際、宮沢の著作権を承継した者のガードが大変固く、作品の発表が大幅に遅れたという経験が大きい。
2006年度の大学入試センター試験において別役の文章が出題されたが、こういった立場から過去問題集に本文の掲載を認めていない。
受賞歴
1968年、『マッチ売りの少女』『赤い鳥の居る風景』で岸田國士戯曲賞。
1988年、芸術選奨文部大臣賞。
2007年、紀伊国屋演劇賞。
2008年、『やってきたゴドー』で鶴屋南北戯曲賞・2008年度朝日賞。
作品
戯曲
象
赤い鳥の居る風景
マッチ売りの少女
カンガルー
ポンコツ車と五人の紳士
不思議の国のアリス
椅子と伝説
死体のある風景
あーぶくたった、にぃたった
にしむくさむらい
一軒の家・一本の樹・一人の息子
天才バカボンのパパなのだ
舞え舞えかたつむり
マザー・マザー・マザー
雰囲気のある死体
病気
会議
うしろの正面だあれ
メリーさんの羊
白瀬中尉の南極探検
トイレはこちら
さらだ殺人事件
ジョバンニの父への旅
諸国を遍歴する二人の騎士の物語
そのひとではありません
死のような死
受付
空中ブランコ乗りのキキ
天神さまのほそみち
雨の降る日は天気が悪い - 2014年12月初演予定だった
ああ、それなのに、それなのに - 2018年初演、144本目の戯曲
テレビドラマ
『おかあさんといっしょ おはなしこんにちは』 (NHK、 1967年 - 1976年)
『静かなる爆薬』 (NHK総合、 1972年12月16日)
『あの角の向う』 (NHK総合、 1974年9月18日)
『うわさの委員会』 (NHK総合、 1975年11月30日)
『風の又三郎』 (NHK総合、 1976年12月6日~9日)
『愛を病む』 (NHK総合、 1980年)
『星の牧場』 (NHK総合、 1981年11月2日~3日)
『人間到る処青山あり~ニューヨーク巡礼行』 (NHK総合、 1991年11月4日)
著書
童話・小説
淋しいおさかな 三一書房 1973 のちPHP文庫
黒い郵便船 三一書房 1975
さばくの町のXたんてい 講談社 1976
星の街のものがたり 三一書房 1977
探偵物語 大和書房 1977
あまんちゅうのまち 旺文社 1978
山猫理髪店 三一書房 1979
コン・セブリ島の魔法使い 旺文社 1981
丘の上の人殺しの家 リブロポート 1981
そよそよ族伝説 1-3 三一書房 1982-1985
ゼレファンタンケルダンス スズキコージ絵 リブロポート 1983
おさかなの手紙 三一書房 1984
ねこのおんせん 佐野洋子絵 教育画劇 1986
探偵X氏の事件 王国社 1986
風の研究 童話集 三一書房 1988
モーの入院 朝倉摂絵 リブロポート 1990
眠り島 白水社 1992
別役実の「贋作天地創造」 その日、神さまは… 朝日新聞社 1998
愛のサーカス
空中ブランコ乗りのキキ
エッセイ
電信柱のある宇宙 白水社 1980 のち白水Uブックス
わんだぁらんど安曇野 桐原書店 1981
虫づくし 鳥書房 1981 のちハヤカワ文庫
けものづくし 真説・動物学大系 平凡社 1982 のちライブラリー
鳥づくし 続真説・動物学大系 平凡社 1985 のちライブラリー
別役実の名画劇場 パロディ・シアター 王国社 1985
馬に乗った丹下左膳 エッセイ集 リブロポート 1986
恐竜の飼いかた教えます ロバート・マッシュ(訳)平凡社 1986
道具づくし 大和書房 1986 のちハヤカワ文庫
当世・商売往来 岩波新書、 1988 のち朝日文庫
魚づくし 続々真説・動物学大系 平凡社 1989
別役実の当世病気道楽 三省堂 1990 のちちくま文庫
日々の暮し方 白水社 1990 のち白水Uブックス
イーハトーボゆき軽便鉄道 リブロポート 1990 のち白水Uブックス
当世悪魔の辞典 王国社 1991 のち朝日文芸文庫
現代犯罪図鑑 玖保キリコ 岩波書店 1992(シリーズ<物語の誕生>)
当世もののけ生態学 早川書房 1993 「もののけづくし」ハヤカワ
文庫
別役実の人体カタログ 平凡社 1993
思いちがい辞典 リブロポート 1993 のちちくま文庫
教訓 汝、忘れる勿れ 王国社 1993
カナダのさけの笑い 弥生書房 1994
都市の鑑賞法 大和書房 1995
ことわざ悪魔の辞典 王国社 1997 のちちくま文庫
満ち足りた人生 白水社 1997 のちUブックス
さんずいづくし 白水社 2001
左見右見四字熟語 大修館書店 2005
さんずいあそび 白水社 2006
評論
『言葉への戦術』 烏書房 1972
『戒厳令 伝説・北一輝』 角川書店 1973
『別役実の犯罪症候群』 三省堂 1981 のちちくま学芸文庫
『台詞の風景』 白水社 1984 のちUブックス
『ベケットと「いじめ」 ドラマツルギーの現在』 岩波書店 1987 のち白水Uブックス
『犯罪季評』 朝倉喬司 朝日文庫 1991
『宇宙遊泳する現代』 弥生書房 1991
『犯罪の見取図』 王国社 1994
『17歳のバタフライナイフ 突破者犯罪を語る』 宮崎学 三一書房労働組合 2000
『別役実の犯罪のことば解読事典』 三省堂 2001
『「母性」の叛乱 平成犯罪事件簿』 中央公論新社 2002
『別役実の演劇教室 舞台を遊ぶ』 白水社 2002
『うらよみ演劇用語辞典』 小学館 2003
『別役実のコント教室 不条理な笑いへのレッスン』 白水社 2003
『別役実のコント検定! 不条理な笑いのライセンスをあなたに』 白水社 2008
『ことばの創りかた 現代演劇ひろい文』 論創社 2012
『東京放浪記』 平凡社 2013
戯曲集
『マッチ売りの少女・象 戯曲集』 三一書房 1969
『不思議の国のアリス 第二戯曲集』 三一書房 1970
『移動』 新潮社(書下ろし新潮劇場) 1971
『そよそよ族の叛乱 第三戯曲集』 三一書房 1971
『象は死刑』 大和書房 1973
『椅子と伝説』 新潮社(書下ろし新潮劇場) 1974
『数字で書かれた物語 第四戯曲集』 三一書房 1974
『赤い鳥の居る風景』 角川文庫 1974
『あーぶくたった、にぃたった 戯曲集』 三一書房 1976
『にしむくさむらい 戯曲集』 三一書房 1978
『天才バカボンのパパなのだ 戯曲集』 三一書房 1979
『マザー・マザー・マザー 戯曲集』 三一書房 1980
『木に花咲く 戯曲集』 三一書房 1981
『足のある死体・会議 戯曲集』 三一書房 1982
『太郎の屋根に雪降りつむ 戯曲集』 三一書房 1983
『メリーさんの羊 戯曲集』 三一書房 1984
『ハイキング 戯曲集』 三一書房 1985
『白瀬中尉の南極探検 戯曲集』 三一書房 1986
『ジョバンニの父への旅 戯曲集』 三一書房 1988
『諸国を遍歴する二人の騎士の物語 戯曲集』 三一書房 1988
『ドラキュラ伯爵の秋 戯曲集』 三一書房 1990
『山猫からの手紙 戯曲集』 三一書房 1991
『はるなつあきふゆ 戯曲集』 三一書房 1993
『猫ふんぢゃった 戯曲集』 三一書房 1993
『赤ずきんちゃんの森の狼たちのクリスマス 音楽劇』 新水社 1993
『風に吹かれてドンキホーテ 戯曲集』 三一書房 1994
『カラカラ天気と五人の紳士 戯曲集』 三一書房 1994
『森から来たカーニバル 戯曲集』 三一書房 1996
『遊園地の思想 戯曲集』 三一書房 1997
『金襴緞子の帯しめながら 戯曲集』 三一書房 1998
『別役実 1(壊れた風景/象)』 ハヤカワ演劇文庫 2007
『さらっていってよピーターパン』 論創社 2011
『別役実の混沌コント』 三一書房 2017
未発表戯曲「ホクロソーセージ」について
ナンセンス喜劇だったと言われている。肉屋の主人が妻を殺してしまい、それが露見しないように妻をソーセージにして売ってしまう。ところが、ソーセージの中にホクロが入っており、肉屋の主人の妻が大きなホクロを持っていたことから、ひょっとして主人が妻を殺したのではないかという噂が立つというあらすじである。
別役実フェスティバル
18団体が参加し、別役作品19演目を、2015年3月~2016年7月の約1年半に渡って上演。
関連人物
鈴木忠志(演出家)
高橋昌也(演出家・演劇集団 円)
中村伸郎(出演者・演劇集団 円)
岸田今日子(出演者・演劇集団 円)
三谷昇(出演者・演劇集団 円)
高木均(出演者・元演劇集団円)
角野卓造(出演者・文学座)
藤原新平(演出家・文学座)
村井志摩子(劇作家・演出家・かたつむりの会)
楠侑子(女優・妻)
べつやくれい(イラストレーター・娘)