12
僕はしばらく雨に打たれ続けた後、近くに転がっていたビニール傘を拾ってとぼとぼとバス停へと向かった。
どうやら夢から覚めたらしい。
僕は慌てて日付を確認した。日付は昨日へと戻っていた。
「あれは夢だったのか」
信じられない気持ちでいっぱいだった。しかしよくよく考えてみればおかしな話だった。
五月少女なる美少女が現れて、その子は僕にしか見えなくて、しかも僕を励ますために、ガジュマルを擬人化させ、友達とその彼女との仲を取り持たせ、最後にカラオケでストレス発散させたとか。考えてみれば荒唐無稽な話である。
僕は力なく笑った。テレビ会館のバス停前で一人、ニヤニヤと乾いた笑いを浮かべるのであった。