フリーライティングからはじめるBEとAS
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さていよいよ、大詰め。『アウトラインプロセッシング LIFE』のBEとASのパートのノートです。
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日々の生活で出会うDOから少し離れ、より大きな自分の人生にとって重要なことを探るためにTak.さんが紹介している方法は、フリーライティングです。
人生にとって重要なことは何か。より直感的に重要と感じている風景は何か。きれいごとを捨てて、ほんとうに自分が欲しがっているものは何か。
まずアウトライナーの頭に、以上のような問いを書きます。フリーライティングのテーマと言っていいでしょう。もちろん、フリーライティングですからそこからずれたことに進んだとしてもOK。
そしてたとえば20分間、あるいはわざと短く5分間書き進める。
それから、書き出したことをはじまりとして、内容を構造化しながら、削り、書き加え、並び変える。
そうすることで、自分が意識できていない心の声を拾い、頭の中で漠然と、あるいは混沌としていた言葉をより具体的ではっきりした言葉に育てる。
この手順でつくったアウトラインはDOからはじまったALLとも、そしてDAYSともちがうもののハズですが、それらと同列のアウトラインとして機能します。
こうしてつくられた(私の)人生にとって重要なことのアウトラインをTak.さんはBE(人生で重要なこと、自分との関わり)そしてAS(人生で重要なこと、人や社会との関わり)と名づけ、ALLとDAYSと同じ階層に並べます。
これでOK。
その使い方については、最後のパート、「アウトラインプロセッシング LIFE」で物がたり的にTak.さんのある一日の風景をかいま見るかのように書かれています(ここもTak.さんの上手なところ)。
たとえば、DAYSのDOを6つ選ぶことに迷ったらそれに関係した、たとえばBEの「行動基準」の項目を開き、そこにある「**したら**する」を読み返して、選択の参考にする。
日々の生活の中でつい忘れてしまいがちあるいは無視されてしまいがちな自分にとって大切なことが、こうして生かされながら大きく育つことができるのです。
なんてかっこいい、シンプルだけど用意周到なシステムでしょう。
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ぼくがGTDを始めた頃、自分の生活から遊離したto doリストを見て、苦し紛れにはじめたフリーライティング的なものも、自分の心の声を聞き、BEやASのようなアウトラインをつくることを目指していました。
KJ法(ぼくが学部時代に所属した研究室は川喜多二郎さんのいた研究室でした)などの経験から、体言止めの短い文節で書かれた項目を並べるのではうまく行かないと感じていたので、文章で書くことにしました。
思い返すと、体言止めの短い文節を箇条書にするのではなく、主語と動詞のある完全なセンテンスで、思いついたことをどんどん書くというやり方は、中学の頃からの習慣でしたから、そうする方がうまく行くという手応えを感じていたこともあるでしょう。
GTDをはじめた頃のフリーライティングは、MacBook Air(初代)のテキストエディタ(たしかJedit)と、iPhone 3Gのnote appで書いていました。
Tak.さんのアウトライナー記事に出会ってからは、MBAを使って、Opalというアウトライナーの上でフリーライティングし、ここから一気に、書いたものがダイナミックに育ちはじめたことをよく覚えています。
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人生の重要なことのフリーライティングについて、この本に書かれていないことをちょっとだけ書き加えておくと、フリーライティングすればすぐに(私の)人生にとって重要なことが見つかると、期待しすぎないことかな、と思っています。
Tak.さんが紹介しているフリーライティングの内容は、ほんとうによくできていると思います。この本を読んで感動したあなたが、フリーライティングして、この焼き直しみたいなものしか書けなかったとしても、もちろん、がっかりする必要はありません。でも、そのままで放っておくのも良くないかな、とぼくは考えています。
自分の声を聞くためにフリーライティングはとても便利ですが、本や雑誌、オンラインで読んだことではない、リアルな自分の声を拾うのはやはり簡単なものではありません。
やっかいなことに(でも場合によってはすばらしいことに)本や雑誌、オンラインで読んだことも、リアルなあなたの一部になっているからです。
忘れてはいけないのは、そうした他の人が書いた文章は、あなたの生活や人生のことなどおかまいなしに書かれたものであること。その本の内容そのままをフリーライティングしたら、あたり前ですが、それはあなたの人生にとってのリアルな重要なこととズレてしまいます。
大切なことは、それでもあなたのペースでフリーライティングをつづけ、それをアウトラインプロセッシングしつづけること。
あと、自分にとって空疎な言葉とリアルな言葉を嗅ぎ分ける感覚を磨くこと。ぼくは、空疎かなと思ったものは、その場で捨ててしまいます。
最後にもうひとつ。階層をたどるときにも、できるだけ自分の基準で項目の役割を考えるよう意識することも大切かなと思います。
『..LIFE』では、たとえばDOのある項目をブレイクダウンしながらそのDOに足りない小さなDOを洗い出すために、アウトライン全体の中でのそのDOの役割を考え、その上で足りないDOを洗い出しています。同じようにレベルアップしながらDOの集まりがアウトラインの中でどのような役割をもったものなのか常に問いかけています。
この階層を降りたり、上がったりしながらつねにそれぞれの階層の役割を問いつづけることで、あなたなりの問いに答えつづけたあなたなりの答えのアウトラインが手に入る可能性が高くなると、ぼくは考えています。
ぼくは、同じ項目名であっても、できるだけ他の人が思いもよらないような役割を見つけるよう、無理しない範囲で意識するようにしています。いや、もしかすると人生懸けてると言ってもいいかも(笑)。
その小さな繰り返しが、それぞれの人のLIFEとってリアルな、アウトラインを育てることにつながると、ぼくは確信しています(ニヤリ)。
(May 16, 2020)