波田野州平特集上映『断層紀』『影の由来』@鳥取市
鳥取県倉吉市出身の映像作家、波田野州平さんの上映会を開催します。
今回上映するのは、その土地についての調査を丁寧に行い、浮かび上がるものを映像に落とし込む近年の波田野さんの作風が強く現れた2作品。『断層紀』は過去県内で上映されたものに新たなシーンを大幅に追加し、『影の由来』は昨年12月の東京ドキュメンタリー映画祭短編部門グランプリを受賞してから、それぞれ初の県内上映となります。当日は波田野さんによるトークも交えながら進行します。
現在、波田野さんは、県中部の暮らしのリサーチとしての新たな映像作品を鳥取銀河鉄道祭のために制作中です。波田野さんのこれまでの歩みを振り返りながら、もうすぐ出来上がる新作にも思いを馳せる上映会になることでしょう。
2019年2月17日(日)
場 所|城下町とっとり交流館 高砂屋(鳥取市元大工町1)
時 間|開場14:30 / 上映15:00
定 員|20名
料 金|1500円
予 約|鳥取銀河鉄道祭実行委員会
gingatetsudou.tottori@gmail.com / 080-3890-0371(野口)
code:作品紹介
影の由来(2017年/27分)
たまたま道を訪ねた老人が唐突に語り始めた出征の話、廃屋に残された古写真や手紙の束。それらをもとに「戦地から二度と戻ることのなかった夫の残した手記と、その夫に宛てて届くことのない手紙を密かに書き続けていた妻」という物語を創造しました。そして一年以上通って撮影した倉吉の風景に、彼らの架空の往復書簡の声をのせることで、かつてこの地に生きた人々の声を召喚しようと試みた、一遍の映画詩です。
東京ドキュメンタリー映画祭短編部門グランプリ受賞。
https://gyazo.com/0aa7481270517e618379371118eb67ad
code:作品紹介
断層紀(2018年/75分)
この映画は2013年に秋田県大館市に滞在して制作したエッセイのような、紀行映画といってもいい作品です。
はじめて訪れた東北の地で出会った、飢饉のための口減らしや夜の墓地で行われる鹿踊りなどの風習、そして翁の話や鉱山の盛衰などを知れば知るほど、僕はどんどん異界にのみこまれていくような感覚で撮影をしていました。
そしてもうひとつ重要な出来事だったのが15歳の少女との出会いです。僕は彼女にカメラを渡し、映像日記をつけてほしいと依頼しました。そこに記録された彼女のこの土地や家族に対する葛藤が、僕をかろうじて現世に引き止めてくれました。
ほかにも70年以上前に撮影された大量の8ミリフィルムなどを素材に、大館の地霊と交感した記録です。
東京ドキュメンタリー映画祭長編部門参加作品。
https://gyazo.com/86bab21b503cc47aa2a3811742269e52
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波田野州平
1980年鳥取県倉吉市生まれ、東京都在住。
初の長編劇映画「TRAIL」(2012)が劇場公開される。その後芸術祭などに参加し、現地調査をもとに映像作品を制作する。その他の作品に、秋田県大館市で15歳の女子中学生と共同制作した「断層紀」(2018)や、倉吉市の元兵士の話をもとに制作した「影の由来」(2017)がある。
https://gyazo.com/a703b48c9406560a09400fed363e7beb