相即相入
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一切の現象が互いに対立せず,とけあって自在な関係にあることをいう。 互いに作用しつつ、調和を保っている関係
法蔵はこの縁起が、事物どうしが「相即相入」することによって起こる、と定義している。 なぜ個体性をもった事物が他の個体的事物とつながっていくことができるのかというと、あらゆる事物が空を本体としているからである。個体性は空から生じ、空が個体性を包み込んでいる。それゆえに、あらゆる事物は空に基づいた同じ構造をしていて、その共通構造をもって他の事物と「相即」することができる。 このとき事物と事物の間に力の出し入れ(力用)が起こる。一方から一方ヘ力が流れ込む時、一方の事物は力を得て顕在化に向かうが、力を失ったもう一方の事物は隠伏空間の中に隠れていくことになる。これが「相入」の過程で、顕在化した事物のつくる世界の中での変容がつくりだされるのみならず、顕在化していた事物が見えなくなり、しばらくして形を変えて隠伏空間から現れて作用をなす、という事態も起こる。このような「相即相入」の複雑な過程をへながら、緑起の全体運動が起こっていく。(p25)