常識とは矛盾した心理の平衡法
public.icon
より深層における実感として、自由と秩序の矛盾、平等と格差の葛藤そして博愛と競合の相克がおのれの心理の奥底に過巻いていると感じている、というのが人々の心理の真相ではないのか。常識とは、この種の矛盾した心理の平衡法のことだ、と再定義しなければならない。そして私ならばこの例でいうと、心理の平衡状態に、つまり自由・平等・博愛という(理想にかんする)実感と秩序競合という(現実にかんする)実感とが平衡させられた状態にたいして、(人間心理が)活力・公正・節度を保っている場合、という規定をほどこす。(p66-67)