「大きすぎない理論」「小さすぎない理論」
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石倉敏明.icon ジェイムズ・クリフォードやダナ・ハラウェイが説いている「大きすぎない理論」「小さすぎない理論」が必要だという主張に同意します(参考:ダナ・ハラウェイ「人新世、資本新世、植民新世、クトゥルー新世 : 類縁関係をつくる 」高橋さきの訳、現代思想 45(22)、2017年、青土社)。つまり、僕たちが正気を保って生きていくのに必要な、ちょうど良い物語の規模というものがあるんだと思う。それはどの規模かは、どこに住んでいるか、どういう人たち、生物や無生物たちと共生しているかに関わっているんですけど、僕はその時の単位について共同体ではなくて、「共異体」という言い方をしています。というのは、我々はもともと同質性を持っているわけではなくて、むしろ全く異なった特異性を持ち寄っていかなければ、生存し続けることは不可能だからです。(…)地球全体がシームレスに繋がっているかのように見える現代の情報社会で、実は地域ごとに大きく異なっている「共異体」の諸相をつかむことが、今後僕たちが向き合っていかなければいけないポリティクスになってくるのではないか、と考えています。(p361-362)