自由からの自由
バガボンドという漫画を読んでいたときに,沢庵というキャラクターが「人の人生は天によって完全に決定されている.従ってお前(武蔵)は完全に自由だ.」というようなことを言っていた.初見のときは何を言ってるのかさっぱり分からなかったのだが,ある時廊下を歩いていて唐突に納得できた.しかしその時は感覚的にわかる,というだけで言語化まではできていなかった.
今はこれに関しては言語化できていて,ここでの自由というのは,「自由意志からの自由」を指しているのだと解釈している.つまり,人間には自由意志があってどんな選択でもできると考えると,自分の選択に責任が生じてくる.なぜこれをするのか?ということを考えなければならないし,間違った選択をしてしまったときにはそれを反省する必要が出てくる.
ここで,「自分の行動は天に完全に決定されている」という思想を導入すると,このような責任や悩みから開放される.なぜなら自分の行動というのは自分が考えるまでもなく決まっていて,その”責任”は自分にはないからである.この思想を進めていくと,自分がやりたいことをやればよく,しかもそれは天が決めたことなので正しいという話になる.
実際便利な思想だと思うのだが,これを突き詰めていくと道徳教育ができなくなり,社会の安定を脅かしそうな気がしている.個人的な信条とするのはいいんだが,社会に持ってくるとよくなさそう.
このブログエントリに出てくる「ワンネス」という概念が,グループダイナミクスに出てくる「集合性」という概念に非常に似ており興味深い.