違う君と
櫻居 惠.icon
人間なんて皆同じさ。
君がうそぶく。
僕と君でも違うというのに。
僕がたずねる。
結局、目鼻があって口があるだけじゃないか。
君は髪が長いし僕は髪が短い。
そんなの誤差さ。
大きな違いだよ。
じゃあ僕も髪を切ろう。
それでも違うさ。
同じ服を着よう。
それでも違うさ。
君の口調を真似よう。
それでも違うさ。
ならば何が違うんだい。
違う人間なんだ。
そんな違いの何が大事なんだ。
僕は僕、君は君であることが大事なんだ。
なら君にはこれが自分だという確たるものはあるのかい。
そんなものなくったって、僕は僕さ。
顔を隠して名前を伏せれば、君はもう君でなくなれるのに。
どんな名を名乗ろうと、僕は僕で君は君だろう。
君の名前でインターネットに投稿したら、みんなが君だと思ったのに。
同じと言い張る君と、違うと言い続ける僕は、今日も分かりあえないままだ。