黒風海の古代遺跡群~オンドの潮だまり~
オンドとは原初世界で言う所の「サハギン族」の事だが、原初世界のサハギン族よりも性質は温厚なようだ。元々は遠い南の海に集落を作って暮らしていたが「光の氾濫」により集落は全滅してしまった。たまたま漁のため集落を離れていた少数のオンド達は生き残ったが光に包まれ集落のあった海域は虚無となってしまったため帰る場所をなくして彷徨う事となった。彷徨ううちにこの黒風海で大きな遺跡を発見した。遺跡は相当古いものであったが海水の浸食で風化することも、激しい潮の流れで朽ちることなく完全な姿のまま海底にあった。オンド達は人族との交流がなく、共存が難しい為、陸上で暮らすわけにもいかない。そんなオンドたちにとって海底遺跡はもってこいの住処だった。
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オンド達は長く息を止めていることは出来るが海中で呼吸することができないため、この遺跡を大きくて魔力を練り込んで丈夫にした泡で包み込んで暮らせるようにした。恐らくこれは蒼のタマミズと同じ技術だと思われる。突然、故郷や仲間をなくした悲しみを抱え、宛てのない放浪の旅に疲れていたオンド達はこの遺跡を残してくれた「いにしえの者」に深く感謝した。そして果てしなく広いこの海で、この場所を発見できた奇跡について彼らなりに考え、一つの結論にたどり着いたという。
オンド達はこの遺跡がこんなにも丈夫に造られているのはここに住んでいた「いにしえの者」がいつかここに戻ってきて生活するためであり、「いにしえの者」が戻るまでこの遺跡を護る守人として住処をなくしたオンドは「いにしえの者」によって導かれたのだと考えた。オンド達はいまでもこの遺跡の主である「いにしえの者」が戻ってくるのを待っている。
歴史や史跡の旅~Chronicle Encyclopaedia~