聖アダマ・ランダマ教会
西ザナラーン、キャンプドライボーンの北にある墓地に囲まれた寂れたナル・ザル教団の協会なのだが、そのみすぼらしい廃墟の様な建物からはここが名の知れた協会であることなどとても想像できないであろう。協会の呼び名となっている「アダマ・ランダマ」とは商神ナルザルの聖人の名前で「聖アダマ・ランダマの籠」という逸話が残っている。
https://gyazo.com/33eeca70248abf616e79edf8a3b156c9
聖アダマ・ランダマの籠
商人アダマ・ランダマは押しも押されぬ大金持ち。貧しい人々に銅貨一枚恵まないケチとして知られていた。しかし、彼をよく知る市場の人々は違った感想を抱いていた。アダマランダマは恵みこそしないものの、女の子が集めた貝殻だろうが、食い潰した前衛画家の作品だろうが、よい品には対価を惜しまなかったからだった。大籠を持って現れ、どんどん買ってくれる彼のおかげで、商人が集まり、特産品が育ち、市場はやがて近隣随一の規模にまで発展した。アダマランダマは、その生前のよさを称えられ、後にナルザルの聖人に列せられた。
https://gyazo.com/e7c76b586798dd028e85d52e748a1406
大富豪アダマ・ランダマにあやかろうと商人や旅の行商人などが訪れることの多かった教会だったが、第七霊災後、様子が一変した。
世界に様々な影響を及ぼした第七霊災ではそれこそ数えきれないほどの人々が命を落とし、どこの街も村も、果ては街道にまでその遺体で溢れてかえり、生き残った者たちの生活までも脅かすほどだった。その中でも身元が分からない無縁仏は特に三大都市国家を始めエオルゼアやその近郊のどの国も遺体の受入れ、処分に難色を示し、または拒絶をした。そんな状況を見るに見かね、行き場をなくした全ての遺体の引き取りを買って出た協会があった。それが聖アダマ・ランダマ協会であった。見ての通り小さな教会で、ほとんど神父が一人で切り盛りしているような協会であったが、彼はその身元不明の霊災被害者の弔いを生涯の仕事とすると誓い、無償で遺体を受け入れ続け、長い年月をかけて全ての遺体を弔ったのだという。生涯の仕事にけじめがついた今でも街道で行倒れた旅人の遺体や魔物に襲われ亡くなった身元不明の遺体などがこの教会には運び込まれ続けていて、誰の為かは分からない行商人が時折お参りに訪れるという。
歴史や史跡の旅~Chronicle Encyclopaedia~