海雄旅団
ラノシアを拠点とする他種族混成の傭兵団で、ミッドランダー族のロレンス・フルーフィスシンを団長として、そのカリスマ性に惹かれたエオルゼア各地の手練れが集い財宝探しや蛮神討伐で大いに名を挙げたという。
団長のロレンスは孤児だったがひょんなことから海賊団シルバーサンドを率いる大海賊ブルーフィスに拾われ、その娘であり、現リムサ・ロミンサ提督のメルウィブと共に家族同然に育てられた。
彼が青年期を迎えた第六星暦1562年。リムサ・ロミンサでは商船がサハギン族に襲われるという事件が多発していた。当時、大海賊ブルーフィスは娘のメルウィブを跡継ぎとして首領の座から身を引いていたが、仁義に厚いブルーフィスはサハギン族から海都の船を守れと命令を下した。首領のメルウィブを含め反対意見は一切出ず、満場一致で海賊団シルバーサンドは連日海に出てサハギン族を撃退することになった。
そんな中、いつものようにサハギン族と交戦し今にも撃退しようとした時、追い詰められたサハギン族が水神リヴァイアサンを召喚した。初めて見る蛮神に、シルバーサンドは苦戦を強いられ船まで沈められてしまう。運よく大海賊ブルーフィスが援軍を率いてきたことでどうにか生き残る事が出来た。だが、この戦いで久々に最前線にたった大海賊ブルーフィスが水神リヴァイアサンのテンパードとなってしまった。蛮神と交戦するのもエオルゼアではこの時が初めてであり、当然テンパードなどという概念すらなかった時代のこと。突然のブルーフィスの豹変にシルバーサンドの面々は困惑し混乱した。大海賊ブルーフィスは日を追うごとに態度も言動もおかしくなり、ある日、部下の半数を連れこつ然と姿を消してしまった。
その数日後、蒼茫洋に「海蛇の舌」を名乗る海賊団が現れ、リムサ・ロミンサの船を襲い始めた。海賊団シルバーサンドはおかしくなる前のブルーフィスの命令を守り、「海蛇の舌」と交戦したのだが、その「海蛇の舌」を率いていたのは大海賊ブルーフィスその人だった。テンパードという概念が一般的ではない以上、ブルーフィスは単なる逆賊と世間からは認識された。身内から逆賊を出したシルバーサンドは落とし前を付けなくてはならない立場となる。
メルウィブとロレンスは、ブルーフィスが蛮神に操られていることに気付いてはいた。しかし、未だ解明されていないテンパード化を証明する術はなかった。メルウィブとロレンスは少数の味方を連れて「海蛇の舌」の隠れ家を強襲、自らの育ての親である逆賊の大海賊ブルーフィスを討ち取った。
この出来事により、ロレンスは世界中から腕利きを集め蛮神殺しの傭兵団を作ることを決意したのだという。こうして「海雄旅団」は結成された。その後、海雄旅団は第六星暦1565年にリムサ・ロミンサと協力契約を締結、黒渦団が設立される数年前である第六星暦1566年にはメルウィブ提督の依頼を受け、コボルト族により召喚された蛮神タイタンの討伐を成功させた。さらに同年バラクーダ騎士団との共同作戦により、蛮神リヴァイアサンをも浅瀬に追い込み自由を奪ったうえで討伐している。
だがその直後、再びタイタンが現れたことで海雄旅団は世間から虚偽報告を疑われた。その疑惑を払しょくするため海雄旅団はすぐさまコボルドの拠点を襲撃、数匹のコボルトを鹵獲し、拷問。複数のコボルトより再召喚したとの証言を得た。この事により、蛮神というのがエーテルを材料として何度でも復活可能な虚像のような存在であるという説が立証されるに至った。
海雄旅団メンバーの中でも団長が選出した5人の団員は「五傑衆」と呼ばれる。五傑衆はルガディン族のヴェイスケート・リスヴルドシン、エレゼン・フォレスター族のランドゥネル・ポマスキエ、ミコッテ・サンシーカー族のウ・オド・ヌン、ゴブリン族のブレイフロクス、ララフェル・プレーンフォーク族のシャマニ・ローマニ、から成りいかに団長といえどもこの「五傑衆」の承認なく、蛮神に挑むことは認められなかった。これは仲間の命を無駄にしないための鉄のシキタリであったという。だが度重なる蛮神討伐や第七霊災による団員の損失などにより、傭兵団「海雄旅団」は5年前に解散してしまったという。
歴史や史跡の旅~Chronicle Encyclopaedia~