悦楽都市ユールモア
ユールモアはコルシア島の大半を領有する都市で、滅びゆく世界から目を背けた富豪たちが享楽に溺れながら過ごしていることから悦楽都市とも呼ばれる。何故他の国や地域が罪喰いの脅威におびえる中、ユールモアだけ優雅に暮らせるのか、その訳は元首ドン・ヴァウスリーにある。
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今でこそ平和なユールモアも、かつて先代の元首時代は強力な軍隊を保有し罪喰いとの戦いの先頭に立っていた。ユールモア軍といえば、ノルヴラント最強の代名詞のような物だったが、その力をもってしても、罪喰いとの戦いでは甚大な被害が出続けていた。「街を護る」という結果を出しているにもかかわらず被害者が多いことを責められた前元首は自分の地位を狙うものが流している風評ではないかと疑心暗鬼に陥っていた。そこへ近づいてきたのがアシエン・エメトセルクだった。エメトセルクは前元首にある提案をする。「大罪喰いと元首の妻がお腹に宿している胎児を使って絶対の王を生み出す。絶対の王が生まれればその父である前元首の立場は盤石となる」というものだった。疑心暗鬼と怒りで眠れない日々過ごしていた前元首はアシエンの甘言に藁をも縋る気持ちで乗った。そうして生まれてきたのが現元首ドン・ヴァウスリーだった。
アシエン・エメトセルクの言う通り、生まれてきた息子ヴァウスリーには罪喰いをペットのように従える特異な能力が備わっており、その能力を用いることでユールモアでのゆるぎない地位と名誉と第一世界においてのユールモアの覇権が確立することを前元首は確信する。そしてユールモアはヴァウスリーの力によって、ノルヴラントで唯一罪喰いに襲われることのない街、ユールモアが出来上がった。
故に元首ドン・ヴァウスリーはユールモアでは絶対的権力を握っており、法であり、道徳であるという。
またヴァウスリーはユールモアの民にメオルというパンに似た食べ物を無償で提供していたが、実はこれは罪喰いの肉であった。これを長く摂取すれば体内のエーテルは偏重化し、ヴァウスリーの「罪喰いを操る能力」に反応する体になってしまう。つまりヴァウスリーは自らの意志に忠実に動く奴隷を作る目的でメオルを民に配っていたのだ。